湯の平温泉 (新潟県)

新潟県新発田市に位置する湯の平温泉は、飯豊山地の南西部、清らかな流れを持つ加治川の上流、飯豊川の源流にあたる右岸にひっそりとたたずむ秘湯です。その名称は「ゆのひらおんせん」または「ゆのだいらおんせん」と読まれます。周囲を険しい山々に囲まれた、まさに自然の中に溶け込むような温泉地です。

この温泉の泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物泉です。保温効果が高く、体の芯から温まる湯として知られ、登山の疲れを癒すのに適しています。源泉掛け流しの露天風呂で、豊かな自然を眺めながら入浴できるのが最大の魅力と言えるでしょう。

湯の平温泉には、宿泊や休憩のための山小屋（山荘）が1軒だけ建っています。この山荘には、男女別の露天風呂が二つ設けられています。また、自炊が可能な炊事場やトイレも整備されており、さらにキャンプ場も併設されています。開設期間は例年7月上旬から10月末までとなっており、これは現地の積雪状況によって多少前後することがあります。山荘に管理人が常駐するのは夏季のみで、それ以外の期間は無人となります。残念ながら、山荘には売店はなく、食事の提供も行っていません。宿泊は基本的に素泊まりのみとなっており、利用者は食材などを事前に準備していく必要があります。開設期間外、特に積雪期にはアクセスが非常に困難になり、安全確保のため吊り橋が外されることもあります。

湯の平温泉への一般的なアクセスルートは、新発田市街から県道14号線、県道335号線を経由し、赤谷林道の終点から登山道を歩く方法でした。通常、赤谷林道終点から温泉までは徒歩でおよそ1時間半程度の道のりです。しかし、赤谷林道は許可された車両以外は通行が制限されているため、事前に確認が必要です。さらに重要な注意点として、現在、赤谷林道で発生した地滑りによる崩落の復旧工事と、東北電力による加治川ダムの建設工事が進行しているため、赤谷林道および湯の平温泉へ続く登山道は、当面の間、全面通行止めとなっています（歩行者も含む）。これに伴い、湯の平避難小屋も閉鎖されています（2022年8月26日時点の情報に基づきます）。したがって、現時点では湯の平温泉を訪れることは極めて困難な状況です。なお、湯の平温泉周辺は登山道が整備されているにもかかわらず、一般の登山者が多く入山することもあり、遭難事故が発生しやすい地域としても知られています。訪れる際には、十分な準備と注意が必要な場所ですが、現在は前述の通りアクセス自体が不可能に近い状況です。

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