湯谷石子駅

湯谷石子駅

湯谷石子駅（ゆのたにいしこえき）は、かつて石川県能美郡寺井町石子（現在の能美市石子町）に設けられていた北陸鉄道能美線の鉄道駅です。同線が1980年（昭和55年）に廃止されたことに伴い、現在は存在しない廃駅となっています。

歴史

湯谷石子駅の歴史は、1925年（大正14年）3月21日に能美電気鉄道の駅として開業したことに始まります。開業の翌年、1926年（大正15年）10月2日には列車交換機能が設置され、列車の運行上の重要な拠点としての役割を持つようになりました。その後、鉄道会社の合併・譲渡を経て、1939年（昭和14年）8月1日には金沢電気軌道の駅となります。1968年（昭和43年）9月1日から9月6日の期間に、駅の機能は大きく変更されました。このとき、列車の閉塞取り扱い、列車交換機能、そして重要な役割を担っていた貨物側線が廃止され、駅構造は単式のホーム1面1線のみへと縮小されました。そして、1980年（昭和55年）9月14日、北陸鉄道能美線自体の廃止に伴い、湯谷石子駅もその35年の歴史に幕を閉じ、廃駅となりました。

駅名の由来

駅名に関しては、建設工事の施行申請が出された当初は「石子湯谷」という名称が予定されていました。しかし、駅開業のわずか3日前に提出された届出によって、現在の「湯谷石子」という名称に正式に改められたという経緯が記録されています。

駅構造と役割

1968年に機能が縮小される以前、湯谷石子駅は地上駅であり、旅客用の島式ホーム1面と、列車が行き違うための2本の線路、さらに貨物を取り扱うための側線を有していました。この駅は、単なる旅客輸送の場としてだけでなく、地域の重要な物流拠点としての役割も担っていました。特に、この地方の代表的な特産品である九谷焼の積み出しに広く利用されました。また、周辺の湯谷や徳山、和気といった地域に点在していた瓦工場で生産された瓦や、その製造に必要不可欠な燃料である石炭の搬入・搬出も、この駅を通じて盛んに行われていました。さらに、鍋谷にあった服部鉱山から採掘される陶石の積み出しにも利用され、構内には重油タンクも備えられていたことからも、その貨物取扱量の多さが伺えます。しかし、1968年以降は前述のように列車交換機能や貨物側線が撤去され、実質的に単線上の停車場（棒線駅）となり、かつての主要な貨物輸送機能は失われました。

現状

北陸鉄道能美線が廃止された後、湯谷石子駅の跡地は公園として再整備されました。現在、その場所にはかつて駅が存在したことを示す石碑が設置されており、往時を偲ばせる場所となっています。

隣の駅

北陸鉄道能美線における、湯谷石子駅の隣接駅は以下の通りでした。

徳久駅 - 湯谷石子駅 - 加賀佐野駅

関連項目

日本の鉄道駅一覧
廃駅

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