満徳寺

満徳寺（まんとくじ）

満徳寺は、群馬県太田市徳川町に定位する時宗の寺院で、特に尼寺として名高い存在でした。この寺院は、山号の「徳川山」が名前として使用されることもありますが、正式には「徳川満徳寺」と称されていました。本尊は阿弥陀如来で、鎌倉にある東慶寺と同様に縁切寺として知られています。現在、寺の跡地は「縁切寺満徳寺遺跡公園」として整備されており、その西側には太田市立縁切寺満徳寺資料館が建立されています。

歴史

中世

満徳寺の開基は得川氏の祖である得川義季とされ、その娘である浄念尼が開山したと伝えられています。義季は承久3年（1221年）に長楽寺を創立したため、満徳寺も同じ時期に誕生したと考えられます。開山浄念についての具体的な記録は残っていませんが、2世の浄院尼が長楽寺に寄進を行った文書から、その存在が確認されています。満徳寺が時宗であったかははっきりしませんが、弘安3年（1280年）に一遍が上野国を訪れた際、地域の岩松氏と河野氏との関係から、宗派が改宗した可能性が指摘されています。

近世

満徳寺に関する「満徳寺由緒書」によれば、豊臣秀頼の妻であった千姫が再婚を目的に寺に入ったとされますが、実際にはその乳母である刑部局が住職として入山し、修行を重ねたという異なる記録も残っています。俊澄という中興開山が存在したことも「満徳寺過去帳」とともに清浄光寺の過去帳によって示されています。この時期、満徳寺は徳川将軍家からの保護を受けるようになり、寺院としての整備も進められました。特に寛永13年（1636年）には伽藍が完成し、再建には千姫の意向があったと言われています。文化6年（1809年）には本堂が全焼するも、本尊や位牌は無事だったとの記録があります。

近現代

明治維新以降、満徳寺は財政的な基盤を失いましたが、新政府からの許可により縁切寺としての機能を保持し続けました。明治5年（1872年）には廃寺となりましたが、本尊などは他の寺に引き継がれ、資料は最後の住職の養子に渡され、現在も保存されています。本堂は大正2年に移築され、その後集会所として利用されました。満徳寺の跡地は昭和31年に群馬県指定史跡となり、また、昭和36年には重要文化財に指定されました。1992年には資料館も開館し、遺跡は公園として整備されています。また、寺院として復活させる動きも見られます。

文化財

満徳寺遺跡は群馬県指定の史跡であり、訪れる人々にその歴史的価値を伝えています。遺跡公園では、寺院の当時の姿に思いを馳せながら散策ができます。これは地域の文化財を保存し、次世代に引き継ぐ重要な場所として位置付けられています。

所在地

群馬県太田市徳川町382-2

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