満月大経

満月大経について

『満月大経』（まんげつだいきょう）、またの名を『大満月経』（だいまんげつきょう）とは、パーリ文献の中部経典に収められている第109の経典です。この経典は、釈迦が比丘たちに教えを授ける重要な場面を描写しています。特に、この経典は五蘊に関する教えに焦点を当てています。

構成

登場人物

• - 釈迦: 仏教の創始者であり、この経典において比丘たちに教えを説く主人公

場面設定

ある満月の晩、サーヴァッティー（舎衛城）のミガーラマーター講堂にて、釈迦は滞在していました。この荘厳な場面の中で、比丘の一人が釈迦に対して五取蘊についての問いを投げかけます。五蘊とは、物質的な存在や感覚、認識、意志、意識など、私たちの存在を構成する五つの要素を指します。

五蘊に関する教え

釈迦は、比丘たちに五蘊について一つ一つ丁寧に解説し、その重要性を伝えます。この教えでは、五蘊がいかに無常であり、非我であるかを観察することが、真の理解と解脱への道であると強調されます。具体的には、以下の点に焦点を当てています。

• - 関心: 五蘊に対する執着や興味が、苦しみの源であることを認識させる。
• - 原因: 五蘊が生じる原因を理解し、それに対する錯覚を取り除く。
• - 善と悪: 五蘊の受け入れ方によって善い行いや悪い行いが生まれることを理解する。
• - 離れ: 五蘊からの離れが、心の安静と解放をもたらすという教えです。

この説法を受けて、なんと60人の比丘たちが解脱を果たします。釈迦の教えは、彼らにとっての目覚めの瞬間となり、自らの存在に対する深い理解を提供しました。

日本語訳

『南伝大蔵経・経蔵・中部経典3』第11巻上（大蔵出版）や、『パーリ仏典 中部（マッジマニカーヤ）後分五十経篇I』訳者片山一良（大蔵出版）、『原始仏典 中部経典4』第7巻（春秋社、中村元監修）などにて、この経典は日本語訳として提供されています。これらの訳本は、釈迦の教えを日本語で容易に学ぶための貴重な資料となっています。

まとめ

『満月大経』は、釈迦の教えを通じて、五蘊に対する理解を深める手助けをする経典です。比丘たちに対する教えは、苦しみから解放されるための具体的な道筋を示し、私たち自身が持つ無常や非我を見つめ、自らの心のあり方を再考させられます。この教えの普遍的な価値は、時代を超えて多くの人々に影響を与え続けています。

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