満洲重工業開発

満洲重工業開発株式会社（満業）

満洲重工業開発株式会社（通称：満業）は、1937年に満洲国で設立された特殊法人・持株会社です。満洲国における鉱工業の一元的な統制を目的とし、日産コンツェルンの総帥であった鮎川義介が初代総裁を務めました。

設立の背景

満業設立の背景には、満洲国における経済運営において南満洲鉄道（満鉄）が強い影響力を持っていたことに対する関東軍の意向がありました。関東軍は、鮎川義介率いる日産コンツェルンに満洲の鉱工業開発を一任することで、満鉄の影響力を排除しようとしました。鮎川は、傘下の日本鉱業や日立製作所、日産重工業などを活用し、満洲全土の鉱業から各種製造まで一貫した計画に基づいて生産することを目指しました。

概要

満業は、満洲国政府からの出資を受け、満洲国政府の監督下で事業を展開しました。資本金は4億5000万円で、満洲国政府が半分を出資しました。満業は、傘下に昭和製鋼所や満洲炭鉱などの鉱工業会社を置き、これらの会社を統制しました。しかし、次第に関東軍や満洲国政府からの経営干渉が強まり、鮎川はアメリカ資本の導入を検討しましたが、関東軍との意見の相違から実現しませんでした。1942年、鮎川は総裁を辞任し、満業が保有していた日本国内の企業の株式も新たに設立した満洲投資証券に移しました。

満業は、満洲国産業開発に投下した資本に対し、10年間6%の収益率を保証されていました。また、満洲国の出資分に対する配当率は民間配当率の半分で良いとされていました。満洲重工業の開発資金は約20億円に上り、満洲国、日本の両政府の支出や金融シンジケート、外資の誘導によって支弁される予定でした。

沿革

1937年：鮎川義介が日本産業株式会社を満洲国首都・新京に移駐・改組して設立。
1938年：東辺道地域開発のための東辺道開発株式会社と満洲飛行機製造株式会社を設立。
1941年：満洲国内に統制会制度が作られ、産業計画や原料配給が完全に満洲国政府主導になったため、統制部門を廃止。
1942年：鮎川義介、総裁を高碕達之助副総裁と交代。
1945年：満洲国の崩壊とともに事業停止。GHQの指令により閉鎖機関に指定。

満業は、満洲国の経済において重要な役割を果たしましたが、満洲国の崩壊とともにその歴史を終えました。

関連項目

日産コンツェルン

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