満福寺 (栃木市)

満福寺

満福寺（まんぷくじ）は、栃木県栃木市に所在する真言宗智山派の寺院です。山号を「教王山」、院号を「遍照光院」と称し、奥の細道霊場の十八番札所としても知られています。寺のご本尊には大日如来（金剛界）が祀られており、そのほかにも多様な神々が信仰されています。たとえば、開運や厄除けの大師、子授け観音、縁結びの歓喜天、身代わり地蔵尊など、さまざまな願い事を持つ信者に手を差し伸べる像が安置されています。

沿革

満福寺の創始は1262年に遡ります。鎌倉時代、洛南醍醐寺の学僧・憲深和尚のもとにいた朝海法印が、日光の修験のために那須の山麓に住坊を築き、神への祈祷を始めたことがその起源とされています。 その後、天正年間に皆川城主・皆川広照の命により、現在の栃木市旭町に移転しました。

1591年には、徳川家康が関東八州への移動の際に立ち寄り、住持のもてなしに感謝して朱印を与えています。この出来事をきっかけに寺の勢力は増し、江戸時代には美しい本堂や周辺の建物が整備され、立派な伽藍を有するようになりました。しかし、1862年には大火に見舞われ、寺はすべての堂宇を失ってしまいました。

その後、長らく無住の時期が続きましたが、1897年に富山から長澤泰純が住職として復興に尽力しました。しかし、当時の社会情勢や廃仏毀釈の影響から十分な復興はかなわず、仮本堂があるのみでした。

1972年に現住持の長澤弘隆が就任し、復興の機運が再び高まりました。彼は本堂を再建し、1985年には客殿と住坊が建設されました。また、2011年には開創750年を迎え、新本堂「大毘盧遮那殿」を建立しました。これに伴い、境内も大規模に整備され、訪れる人々にとってより魅力的な場所となっています。

文化財

満福寺には、栃木市指定の文化財である三鬼尊が存在します。この三体の鬼神の像は、全国的にも珍しいもので、赤・青（緑）・黒の三体一組が一つのセットで祀られています。これらの像は、戦後に分别される縁日で賑わいを見せましたが、修験行者から敬愛される存在とされています。

また、栃木市出身の日本画家田中一村の墓も所在し、彼とその家族が共に眠っています。田中一村は奄美大島で活動し、日本画界に多大な影響を与えた人物です。彼の遺族によって、墓が整備され供養が続けられています。

その他、文化財には中村不折や松岡正剛が揮毫した扁額が含まれています。

主な行事

満福寺では、年間を通じてさまざまな行事が行われています。特に新年の大護摩供や、弘法大師御影供、そしてお盆の特別供養会など、多くの信者が成長と平安を願って来寺します。また、施餓鬼会など、仏教の教えに基づく行事も続けられています。

交通

満福寺へのアクセスは便利で、JR両毛線および東武鉄道日光線の栃木駅から徒歩15分、タクシーでは5分ほどの距離にあります。自家用車の場合は、東北自動車道の栃木ICから約10分で到着します。寺の近くには観光用のレンタサイクルもあり、訪れる人々はその美しい景観を楽しむことができます。

関連資料

満福寺に関する資料には、田嶋隆純の著作や長澤實導の研究書が残されており、仏教の深い知識を得る手助けとなります。さらに公式ウェブサイトや観光協会の案内も豊富です。

このように、満福寺は歴史的にも文化的にも価値のある寺院として、今なお多くの人々から信仰され続けています。

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