満蒙問題

満蒙問題の概要

満蒙問題は、日露戦争の結果として浮上した、日本の満洲（マンシュウ）及び内蒙古における特殊権益の維持に関わる課題です。この問題は、1904年から1905年にかけて起こった日露戦争に起源を持ち、その背景にはロシア帝国の南下政策と、日本の朝鮮における権益が絡み合っています。

日露戦争後の経緯

日露戦争での日本の勝利により、ポーツマス条約が締結され、日本は長春以南の鉄道及び関連する利権を獲得し、これを満洲への進出の足がかりとしました。これに伴い、日本はロシアと4次にわたる日露協約を結び、双方の勢力範囲を明確にしました。また、清国も満洲善後条約や満洲協約を通じてこれを認めました。しかし、1912年に成立した中華民国は国権回復運動を進める中で、日本との対立が深まりました。

1920年代の日本の対中国政策

1928年、日本の対中政策において満蒙問題は主要な課題となり、複数の政治的スタンスが存在しました。

1. 田中義一内閣総理大臣の「満蒙特殊地域論」：長城以南は国民政府の統治を認めつつ、長城外の満蒙に日本の影響を残すことを目指しました。
2. 浜口雄幸らの協調外交：国民政府との友好関係を構築し、中国全土の統一を容認することで経済交流を促進しようとしました。
3. 関東軍の「満洲分離方針」：新たな政権を日本の支配下に置くことを目指したが、中国の主権は保持する考えでした。
4. 陸軍内部派閥の「満蒙領有方針」：満蒙の実質的な領有を追求し、中国主権を否定する姿勢を持っていました。

満洲事変の勃発

1931年、柳条湖事件を契機に満洲事変が勃発しました。これは、1929年の世界恐慌の影響を受けて日本が経済的な苦境に直面していた中で、関東軍によって計画されたものとされています。しかし、この展開は事前に予定されていた満蒙領有政策に基づいており、世界恐慌は実行の好機となったのです。

政府の対応と満洲国の成立

満洲事変は、関東軍の独立した行動によって進展しました。当初、日本政府と陸軍中央は事変の拡大に反対していましたが、内閣の崩壊を経て次の犬養内閣では、関東軍の行動が承認されました。1932年には、満洲国が設立されましたが、犬養内閣はその承認を最後まで拒否しました。

日本の権益

満蒙における日本の主な権益は、関東州の租借権、満洲鉄道の経営権、行政権など、多岐にわたりました。特に、条約上の権利や実質的に行使されているもので、港湾や鉄道に関する権利、鉱山の採掘権などがありました。また、条約上の根拠の薄い権益や、虚偽的に空文化しているものも存在していました。

このように満蒙問題は、日本の中国における権益を巡る複雑で多面的な問題であり、その背後には国際的な政治情勢や経済的な要請が絡んでいました。

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