源平

源平：平安時代を彩る貴族の生涯

源平は、平安時代前期を代表する貴族の一人です。その生涯は、華やかな宮廷生活と地方行政への従事、そして家族への深い愛情といった様々な側面を垣間見せてくれます。

出自と初期の経歴

源平は、名門貴族である嵯峨源氏の流れを汲み、左大臣を勤めた源信を父に持ちます。幼少期から恵まれた環境で育ち、優れた才能を開花させていったことは想像に難くありません。公家としてのキャリアは、仁寿3年（853年）に、従五位下への叙爵から始まります。その後、着実に官位を昇進させ、斉衡4年（857年）には従五位上へと昇叙されました。

宮廷での活躍と地方行政への従事

天安2年（858年）、清和天皇の即位後まもなく、源平は左兵衛佐に任命されます。これは宮廷の警備を担う重要な役職であり、源平の実力と朝廷からの信頼の高さを示しています。貞観16年（874年）には、淳和院で発生した火災への対応にあたり、その迅速な判断力と指揮能力を発揮しました。左衛門権佐の藤原維範と共に、衛士らを率いて消火活動にあたった彼の姿は、まさに責任感と勇気ある行動の象徴と言えるでしょう。

その後、清和朝末期には地方官として丹波権守に転じ、朝廷の中枢から離れて地方行政に携わりました。地方での経験は、源平の視野を広げ、政治家としての力量をさらに磨いたことでしょう。地方の民衆と接することで、朝廷とは異なる視点や課題を理解する機会を得たはずです。

晩年の活躍と人物像

貞観19年（877年）、陽成天皇の即位に伴い従四位下に叙せられます。さらに、元慶5年（881年）には、知的障害があったため父・信から系譜から削除されていた兄弟・尋への春朝臣姓の賜与を、他の兄弟と共に奏請し、許されています。このエピソードは、源平が兄弟を思いやる温かい心、そして強い家族意識を持っていたことを示唆しています。

元慶8年（884年）には、光孝天皇の即位に伴い従四位上に昇叙され、その後、相模権守、そして大膳大夫へと順調に昇進していきました。大膳大夫は宮廷の食料管理を司る重要な役職であり、源平が朝廷において高い地位と信頼を得ていたことを物語っています。

源平の生涯は、宮廷での華麗なキャリアと地方行政への貢献、そして家族への深い愛情という様々な側面が複雑に絡み合ったものです。彼の行動や人となりは、平安時代前期の朝廷社会を理解する上で貴重な手がかりを与えてくれます。 彼の功績は、単なる官職の昇進だけでなく、火災への対応や兄弟への配慮といった具体的な行動からも読み取ることができ、多角的な視点から評価されるべきでしょう。

官歴

時期不詳：正六位上
仁寿3年（853年）正月7日：従五位下
斉衡4年（857年）正月7日：従五位上
天安2年（858年）9月14日：左兵衛佐
貞観5年（863年）4月7日：次侍従
時期不詳：正五位下、丹波権守
貞観19年（877年）正月3日：従四位下
元慶8年（884年）2月23日：従四位上
仁和2年（886年）2月21日：相模権守
仁和3年（887年）6月13日：大膳大夫

参考文献

* 武田祐吉、佐藤謙三訳『読み下し 日本三代実録』（上下巻）、戎光祥出版、2009年

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