佐藤謙三

佐藤謙三：国文学研究の Pioneer

佐藤謙三（さとう けんぞう）は、1910年11月5日に神奈川県横浜市で生まれ、1975年1月25日に生涯を閉じた国文学者です。國學院大學の学長を務め、日本の古典研究に大きく貢献しました。

生い立ちと学歴

横浜第二中学校在学中に関東大震災に見舞われるという経験をしました。その後、國學院大學予科を経て国文科に進み、1933年に卒業。卒業後すぐに國學院大學国文研究室の助手となり、研究者としてのキャリアをスタートさせました。1935年には予科講師、1945年には予科教授へと昇進し、着実にその地位を確立していきました。

戦後の活躍と國學院大學学長就任

戦後、1946年に文学部教授に就任。1961年には、学位論文『平安時代文学の研究』を國學院大學に提出し、文学博士号を取得しました。1964年からは文学部長を務め、1970年には國學院大學の学長に就任。学長として大学の発展に尽力しましたが、1973年より病のため入院治療に入り、1975年に学長在職中に亡くなりました。

研究内容と業績

佐藤謙三の専門は平安時代の文学研究であり、その研究成果は没後30年を経て刊行された『佐藤謙三著作集』全5巻にまとめられています。また、角川書店から出版された『古語辞典』の編纂や、角川文庫版の「平家物語」、「今昔物語集」、「大鏡」など、多くの古典作品の校注にも携わりました。さらに、「日本三代実録」の新版現代語訳も手掛けるなど、幅広い分野でその才能を発揮しました。

著作一覧

『平安時代文学の研究』角川書店、1960年
『王朝文学前後』角川書店、1969年
『義経記』平凡社東洋文庫、新版 平凡社ライブラリー
『佐藤謙三著作集』(全5巻) 角川書店、2005年

資料

『激動の昭和と国学者の手記　佐藤謙三日記抄』安藤靖治ほか編、角川学芸出版、2011年
改題『佐藤謙三著作集 日記篇補遺』(全6冊) 角川学芸出版、2011年
『昭和の跫音　佐藤謙三/教師群像』関根賢司著、おうふう、2008年
「関東大震災と佐藤謙三 : 被災地の社会状況を中心に」『國學院雑誌』125-4, 2024年, 23-39頁


佐藤謙三は、研究者としてだけでなく、教育者としても多くの学生を育成し、日本の古典研究の発展に大きく貢献しました。その功績は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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