源惟良

源惟良（げん いりょう）は、生没年不詳の江戸時代中期の篆刻家です。字を顕哉（けんや）、号を東壑（とうがく）・泐石（ろせき）と称し、通称は森礼蔵（もり れいぞう）。一時、伊藤姓を名乗った時期もありました。京都出身。

人物

学問を好み、文章にも長けていました。篆刻を嗜むうちに、高芙蓉（こう ふよう）の門下となり、その奥義を極めて高弟となりました。師である芙蓉が亡くなると、芙蓉が収蔵していた古銅印を集めた『芙蓉山房私印譜（ふようさんぼうしいんぷ）』を百部制作し、関係者に配布しました。また、芙蓉の十三回忌には、余延年（よ えんねん）と共に全国の芙蓉門下に呼びかけ、68名の名家の印を集めた『高芙蓉追善印譜（こうふようついぜんいんぷ）』を制作し、師の追善に尽力しました。

大酒飲みであり、ある夜に誤って川に転落したものの、自身では気づかぬうちに翌朝、松の枝に引っかかって助かっていたという逸話が残っています。天明の大火（天明8年）の後には、田必器（でん ひっき）を訪ねて伊勢山田（いせやまだ）に遊歴し、この時、24歳の小俣蠖庵（おまた かくあん）に篆刻を伝えました。

作品

印譜
『東壑顕哉道人印譜』
編集
『芙蓉山房私印譜』
『高芙蓉追善印譜』

参考文献

中井敬所「日本印人伝」『日本の篆刻』1966年 中田勇次郎編 二玄社
三村竹清「伊勢と篆刻家」『三村竹清集5』青裳堂＜日本書誌学体系23＞

関連項目

日本の篆刻家一覧
* 印譜

もう一度検索