源為成

源為成は、平安時代後期に活躍した武将です。河内源氏の源為義を父に持ち、七男として誕生しました。母は、名高い賀茂神社の神主・賀茂成宗の娘であったと伝えられています。為成は通称を八幡七郎、あるいは賀茂七郎と称していました。

保元の乱において、為成は父の為義に従い、崇徳上皇と藤原頼長を支持する側に加わりました。しかし、この戦いは為義・為成側が敗北を喫します。乱の後、為義は嫡男である源義朝のもとに降伏し、為成も父と共に義朝に降参しました。義朝は、父である為義と多くの兄弟の助命を嘆願しましたが、それは叶いませんでした。為義と為成、そして兄弟たちは、義朝によって京都市北区の船岡山で斬首されました。わずかにして短い生涯でした。

為成の最期については、様々な記録が残されています。史料によると、為義父子は船岡山で処刑されたとされています。保元の乱における敗北は、為成の運命を決定づけました。父と共に戦場に赴き、父と共に最期を遂げたのです。

興味深いことに、現在の兵庫県加西市天雲山には、保元の乱の後、為成が潜伏していたという伝説が残されています。この伝説は、為成の最期に関する記録とは異なる物語を伝えています。史実とは異なる可能性も高いですが、為成の生涯にまつわる人々の記憶、そして想像力の豊かさを感じさせるエピソードと言えます。歴史の表舞台に立つことはなかったかもしれませんが、この伝説は、為成という人物が人々の記憶に留まり続けていることを示しているのかもしれません。

為成の生涯は、平安時代末期の動乱の時代を象徴する出来事として捉えることができます。華々しい活躍を残すことはできませんでしたが、為成の短い生涯は、権力争いの激しさ、そして時代の流れの残酷さを私たちに示しています。彼がどのような人物であったのか、どのような思いを抱いていたのかを完全に知ることはできませんが、史料と伝説を合わせて考察することで、平安時代後期の社会情勢や、人々の生き様の一端に触れることができるでしょう。

参考文献

『新訂増補国史大系・尊卑分脈 第3篇』、吉川弘文館
『新日本古典文学大系43　保元物語・平治物語・承久記』、岩波書店

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