滋賀海軍航空隊

滋賀海軍航空隊の概要

滋賀海軍航空隊（しがかいぐんこうくうたい）は、大日本帝国海軍に属する部隊で、特に航空教育を専門とした機関です。所在地は滋賀県大津市の滋賀里町であり、太平洋戦争の背景の中で、急増する海軍飛行予科練習生を育成する目的で新たに設立されました。この部隊は、甲飛第13・14期をはじめとした生徒の教育を行い、最終的に甲飛第16期生までが入隊しました。

滋賀海軍航空隊は、その教育体制の中で他の海軍航空隊とは異なり、すでに下士官としての教育を受けた学生を対象とするエリート教育機関でした。しかし、マリアナ沖海戦の影響による戦局の悪化から、海軍士官やパイロットの養成が短縮されることとなり、隊の目的も特別攻撃隊へと変更されました。これにより、多くの隊員が最新の兵器を使って戦地に送り込まれ、戦死者は約8割に上るという結果となりました。特に昭和20年6月には大規模な戦死者が出ており、隊員たちは「滋賀空」と愛称で呼び合いながらこの厳しい状況に対する思いを共有していました。なお、滋賀海軍航空隊は極秘基地であったため、記録や資料は限られているのが現状です。

歴史的背景

滋賀海軍航空隊は、日中戦争から太平洋戦争にかけて、海軍航空隊として航空機による決戦に転じていく中で設立されました。当初は航空機による決戦が行われ、多くの戦果を上げていましたが、ミッドウェー海戦における敗北を受け、航空隊の増強が必要とされました。これに伴い、既存の航空隊だけでは対応しきれず、滋賀海軍航空隊の設置が求められました。

1942年には、海軍の高官が滋賀県内での基地建設を決定し、様々な地権者と交渉を重ね、急速な整備に取り掛かりました。1943年には施設の一部が完成し、滋賀海軍航空隊は正式に設立されました。

訓練と特殊攻撃隊

滋賀海軍航空隊では、訓練機として主にグライダーや九三式中間練習機、零式練習用戦闘機が使用されました。しかし、この時期には、練習機の不足が問題となり、飛行訓練に進めない隊員も多発しました。また、特殊攻撃隊の訓練が行われるようになると、隊員たちは特攻作戦を志願することになりました。

昭和20年以降は、アメリカ軍による空襲が激化し、滋賀海軍航空隊も多くの被害を受けました。7月の空襲では、基地が機銃掃射を受け、多くの隊員が避難を余儀なくされました。8月15日に日本が敗戦するまでの間、隊員たちは特攻出撃に向けて訓練を続けました。

終戦と解散

1945年8月15日、日本が敗戦を迎えました。滋賀海軍航空隊も同年11月に解散することが決定され、基地はアメリカ軍に接収されました。その後、元滋賀海軍航空隊の跡地には、陸上自衛隊や公園などが整備されまし。

現在、滋賀海軍航空隊の記念碑が設置されており、歴史を伝えるとともに、その悲劇を忘れないことが求められています。この航空隊が持った役割と、苦しい戦局の中で自らの運命を全うした隊員たちの存在は、今でも多くの人々の記憶に残ることでしょう。

参考文献

1. 滋賀県史. 第1巻
2. 大津市役所「図説大津の歴史　下巻」
3. 滋賀県平和記念館「滋賀県戦争遺跡分布調査報告書」
4. 水谷孝信『本土決戦と滋賀』
5. 戦史叢書88 海軍軍戦備(2)開戦以後

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