滝あきら

滝 あきら（たき あきら）

1922年（大正11年）頃から1992年（平成4年）に活躍した漫談家。本名は滝井 伊太郎（たきい いたろう）。

生涯

大阪府大阪市で生まれたとされる。正確な生年には諸説があり、本人が晩年まで年齢をごまかしていたため、1922年、1924年、1925年など複数の説が伝えられている。最終的に1992年に70歳で没したとされることから、逆算すると1922年生まれが有力視される。漫談家・滝井健二の門をたたき、芸の道を歩み始めた。

芸風と人物像

滝あきらの活動の中心は、当時の吉本興業が擁する劇場、特にうめだ花月などの舞台であった。同時代に毒舌漫談でテレビやラジオで人気を博した西条凡児と並び称されることもあったが、凡児がメディアを通じて広く知られたのに対し、滝あきらは徹底して舞台でのライブ芸にこだわった。その芸風は、人間の内面をえぐるような艶ネタや、世相に対する鋭い風刺を織り交ぜたもので、劇場に足を運ぶ観客を魅了した。

派手なメディア露出が少なかったため、一般的な知名度は必ずしも高くなかったとされる。しかし、その芸に対する真摯な姿勢と、飾らない人柄から、多くの芸人仲間から深く尊敬され、愛された。楽屋では親しみを込めて「ガッツ滝」と呼ばれていたという逸話は、彼の人間性を物語っている。また、トレードマークともいえるかつらを着用していたことでも知られている。

私生活では、落語家の笑福亭松之助と親しい交流があった。血液型については、1989年放送のテレビ番組出演時の情報からAB型であった可能性が指摘されている。

晩年と死去

1992年2月23日、病によりこの世を去った。死因は敗血症と伝えられている。月亭八方が1992年に執筆した著書『吉本芸人大百科』によれば、享年70であったとされる。これは、複数の説があった生年を確定する上で重要な手がかりとなっている。

弟子

滝あきらは、多くの後進を育成したことでも知られる。主な弟子には、タレントとして活躍する滝トール、俳優・脚本家の九十九一、そして人気お笑い芸人の村上ショージらがいる。村上ショージは後に吉本新喜劇座長も務め、師匠の芸を継承・発展させている。また、ベン山形は滝の孫弟子にあたる。

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