滝川忠暁

滝川忠暁の生涯

滝川忠暁（たきがわ ただあき）は、江戸時代中期から後期に活躍した尾張藩士であり、年寄（家老）として藩の政務を支えた重要な人物です。その通称は刑部、彦次郎、権十郎で、官位は従五位下豊後守を持っていました。

生い立ちと家族

忠暁は小折生駒家（当時4000石の家禄を持つ）の当主、生駒周房の次男として生まれました。安永2年（1773年）に、家禄2000石余を持つ滝川忠厚が子を残さずに亡くなると、当時16歳だった忠暁が忠厚の娘婿となり、末期養子として後を継ぐことが認められました。しかし、家禄の700石が収公され、彼は1300石余の相続に留まりました。

滝川家は名古屋城の普請奉行を務めていた忠征の子孫であり、家系は長い歴史を持っています。しかし、末期養子による相続が続く中で家禄が減少し、格式も低下していきました。忠暁はこの家を再興するために、幼少時代から優れた学問を修めました。

政治活動と昇進

天明4年（1784年）、忠暁は大番頭に就任し、翌天明6年（1786年）には用人に登用されました。この頃、藩主の徳川宗睦は、藩の政権を御附家老に制限されることに懸念を抱き、忠暁を抜擢しました。天明8年（1788年）には江戸での勤務を命じられ、世子治行の付添いを任されました。

その後、忠暁は寛政元年（1789年）から藩主の側近として活躍し、1794年にはついに年寄に昇進します。藩主が政務を行う際、忠暁の意見が重視されるようになり、藩政の中心人物となりました。年寄就任時には700石の加増があり、寛政8年（1796年）にはさらに500石、寛政10年（1798年）には500石の加増を受けて、3063石余の世禄を世襲することが許されました。

後の活動と功績

寛政11年（1799年）に藩主の宗睦が亡くなると、忠暁は養子の徳川斉朝に仕え続けます。寛政12年（1800年）には従五位下豊後守に叙任され、享和3年（1803年）には500石の加増を受けて、先祖の領地である稲島に移ることを許されました。文化6年（1809年）には、さらに500石の加増を受け、最終的に4063石余となります。

1810年、忠暁は江戸詰めを解かれ、名古屋に帰郷しました。その後も、文政11年（1814年）には大江川の改修を行い、地域の用水と治水の改善に功績を残しました。彼の努力によって、地元住民から長年にわたり感謝されました。

隠居と晩年

文政6年（1823年）に病により致仕し、隠居料として月に70人扶持（蔵米350俵）を受けることになりました。隠居の際には、世禄を嫡男忠據や五男忠貫に分配し、彼の家族もその後を継ぐこととなりました。しかし、1824年に病により亡くなりました。

忠暁の生涯は、家族の歴史を背景に、政治的な活動を通じて地域社会に多大な貢献をしたものとして語り継がれています。

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