滝川潤

滝川潤：幅広い役柄で活躍したベテラン俳優

滝川潤（たきがわじゅん）は、1936年12月生まれの日本の俳優である。東京府（現在の東京都）出身。京華商業高等学校卒業後、俳優の道を歩むことになるが、そのキャリアパスは独特なものだった。

理容師から俳優へ

滝川氏の生家は理髪店を営んでおり、高校在学中には家業を継ぐため理容師免許を取得している。しかし、高校卒業後は俳優座養成所7期生として入所。同期には藤岡重慶氏や井川比佐志氏といった著名な俳優がおり、彼らと切磋琢磨しながら演技の基礎を築いた。養成所時代の同期生について、当時のインタビュー記事では「それぞれ違う役柄ですが、やはり負けたくありません」と、ライバル意識と向上心を抱いていた様子がうかがえる。

1959年、俳優座養成所卒業と同時に東映ニューフェイス第5期生に合格。これが芸能界デビューのきっかけとなる。

映画・テレビドラマでの活躍

初期の頃は映画で悪役として出演する機会が多かった。1961年の『故郷は緑なりき』などもその代表作と言えるだろう。転機が訪れたのは1963年、刑事ドラマ『特別機動捜査隊』（NET）へのレギュラー出演である。同作品で演じた若井田刑事役では、劇中で使用されたセドリックのパトカーの運転も任されるほど信頼された。1968年のインタビュー記事では、「セドリックを運転できるのは嬉しいです。運転面で、刑事役の至らない部分をカバーしようと一生懸命です」と語っており、役作りへの真摯な姿勢が窺える。

『特別機動捜査隊』降板後も、刑事ドラマや時代劇を中心に活躍を続ける。特に悪役としての存在感は圧倒的で、数多くの作品で強烈な印象を残した。

さらに、同作品で共演した北原隆氏、高島新太郎氏、松原光二氏らと「フォア・ジャスメン」という音楽ユニットを結成し、レコードデビューも果たしている。多才ぶりを発揮した一面も見せている。

豊富な出演作

滝川氏の出演作品は多岐に渡る。映画では東映作品を中心に数多くの作品に出演。『埠頭の縄張り』『ふたりの休日』『べらんめえ芸者』といった作品から、『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』『動乱』『誘拐報道』といった幅広いジャンルの作品まで、その演技力は高く評価された。

テレビドラマにおいても、『特別機動捜査隊』を始め、『プレイガール』シリーズ、『大江戸捜査網』、『西部警察』シリーズ、『特捜最前線』、『Gメン'75』など、人気シリーズへの出演が多数。刑事ドラマや時代劇だけでなく、現代劇にも幅広く出演し、様々な役柄を演じ分けている。脇役ながら、作品に深みを与える存在感で視聴者の記憶に残る演技を披露した。

プライベートでは、ゴルフとボウリングを趣味としている。

まとめ

滝川潤氏は、理容師という異色の経歴から俳優としての道を切り開いた稀有な存在である。映画、テレビドラマ問わず幅広い作品に出演し、悪役から刑事役まで様々な役柄をこなす高い演技力と、作品への真摯な姿勢で長く芸能界で活躍を続けたベテラン俳優と言えるだろう。その多彩なキャリアは、後進の俳優たちにとっても貴重な指標となるに違いない。

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