滝脇信広

瀧脇信廣：二つの華族を繋いだ男

瀧脇信廣（たきわき のぶひろ）は、慶応元年（1865年）に生まれ、大正2年（1913年）に亡くなった明治時代の子爵です。彼の生涯は、伊達家、田沼家、滝脇家という三つの家と深く関わり、複雑な人間関係と時代の流れの中で翻弄されながらも、それぞれの家を繋ぐ役割を果たしました。

生い立ちと田沼家相続

信廣は、伊予宇和島藩主であった伊達宗城の六男として誕生しました。初めは伊達忠千代と名乗っていましたが、後に運命が大きく変わります。明治6年（1873年）12月、遠江相良藩田沼家の当主であった田沼意尊の長女・智恵と結婚することになり、田沼家の家督を継承することになったのです。

しかし、明治11年（1878年）6月には智恵と離縁。その後、智恵は伏原宣諭の子である望と再婚しています。

滝脇家へ

田沼家を離れた後、信廣は明治21年（1888年）に、駿河小島藩滝脇家の滝脇信成（小島藩第8代藩主松平信賢の二男で、同藩第11代藩主滝脇信敏の養子）の養子となります。そして、翌明治22年（1889年）2月には滝脇家を継承し、滝脇信廣と名乗るようになりました。さらに、宮崎利央の長女・鏞子を妻に迎え、明治26年（1893年）3月には長男・信鑰が誕生しています。

晩年とその後

瀧脇信廣は、大正2年（1913年）に病のため逝去しました。彼の死後、家督は長男の信鑰が継承しましたが、信鑰も大正12年（1923年）4月に隠居し、古市公威の四男である宏光を養嗣子に迎えて家督を譲り、自身は分家しました。

瀧脇信廣の足跡

瀧脇信廣は、伊達家という大名家から、田沼家、滝脇家という二つの華族へと渡り歩いた珍しい経歴の持ち主です。時代の変化の中で、家と家との繋がり、そして自身の役割を模索しながら生きた彼の生涯は、日本の近代史を考える上で興味深い事例と言えるでしょう。

参考文献

『大正過去帳 物故人名辞典』東京美術、1973年。
霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成』下巻、霞会館、1996年。

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