漆沢の池

漆沢の池

漆沢の池は、石川県七尾市西三階町に位置する、周囲2km、水深10mにも及ぶ能登地方最大級のため池です。2010年には農林水産省の「ため池百選」にも選定されました。

概要

漆沢の池は、邑知潟地溝帯の丘陵地の東北端に沿って流れる二級河川、二宮川の左岸に広がる48haの農地を潤しています。地図上では「しぶ沢の池」と表記されている場合もあります。

歴史

その歴史は江戸時代に遡ります。1679年には加賀藩から年貢割付状が出され、年貢が増加しました。その後、1725年に十村制役の北村平内安仲と地元農民が協力し、新たな水源確保のため「うるし沢」に堰堤を築造しました。当時としては高度な技術であった「はがね土」と呼ばれる工法が用いられ、3年9ヶ月の歳月をかけて堤高6.1m、堤長240mの堰堤が完成しました。

この池の築造に関する苦労や人々の思いは、「能登のお池づくり」として児童文学研究者の勝尾金弥によって書籍化されています。

池の完成後、「お池さまのおかげで　今年も豊年万作じゃ」と唄われたほど、地域住民はこの池から大きな恩恵を受けました。近くの藤原比古神社には、治水工事の功績を称える「治水功績碑」が建立されています。しかし、1892年には堤防工事中に崩落事故が発生し、6名の犠牲者が出ました。翌年には慰霊碑が建立され、現在も地元の人々によって大切にされています。地元では「お池」と呼ばれ親しまれ、毎年秋祭りには豊作を感謝する獅子舞が奉納されています。

自然

漆沢の池は、豊かな自然環境も特徴です。コイ、フナ、ナマズ、タナゴ、シジミなど、多様な水生動物が生息しており、冬にはカモなどの渡り鳥が飛来します。湖畔には、サワギキョウ、ハス、ヒシなどの水生植物の他、食虫植物であるモウセンゴケやタヌキモも見られます。

アクセス

道路: 富山県道・石川県道18号氷見田鶴浜線、または石川県道298号七尾鳥屋線を利用
公共交通機関: 七尾線七尾駅下車後、ななおコミュニティバス ぐるっと7（西コース）に乗車、「西三階」停留所下車

関連項目

七尾市
ため池百選
高階村

外部リンク

漆沢の池（農林水産省）

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