日本の国有林

日本の国有林について

日本の国有林は、日本国政府が所有・管理する森林であり、その管理は主に農林水産省の外局である林野庁が行っています。国有林は、国土の約3割を占める広大な面積を有し、国立公園や保安林の多くも国有林に含まれています。また、国産材の約3割が国有林から産出されており、木材供給の面でも重要な役割を担っています。

国有林と対比される概念として民有林があり、民有林には個人や企業が所有する私有林、都道府県や市町村が所有する公有林、個人が共同で所有する共有林などが含まれます。

歴史

現在の国有林の多くは、江戸時代には幕府や藩が所有する御林でした。明治時代の版籍奉還によってこれらの土地が国有化され、地租改正のための全国的な土地調査の結果、所有者が不明確な共有林の一部も国有地と見なされ、国有林が誕生しました。

1916年（大正5年）には、国有林の一部が牧場として開放され、軍馬育成などのために利用されました。第二次世界大戦後の1947年（昭和22年）には、国有林の管理が農林水産省に一元化され、国有林野事業特別会計のもとで管理されるようになりました。その後、2013年（平成25年）に国有林野事業特別会計が廃止され、国有林野事業は一般会計の事業となりました。また、2020年4月からは改正された「国有林野の管理経営に関する法律」に基づき「樹木採取権」が導入されています。

管理の方針

現在の国有林の管理は、以下の4つの機能に着目して行われています。

木材の生産
水源涵養や山地災害防止などの水土保全
二酸化炭素吸収などの環境保全
野生生物保護やレクリエーションなどの保健文化機能

林野庁は元々、木材生産を重視していましたが、1980年代後半以降の国民の自然保護への関心の高まりを受け、森林の持つ多面的機能を重視するようになりました。1998年には「国有林野事業の改革のための特別措置法」などが制定され、木材生産偏重から多面的機能重視へと方針転換が図られました。

国有林の一部は森林生態系保全地域に指定されており、この区域内では登山などの目的であっても入林が制限されています。

経営状態

戦後の復興から高度経済成長期には、木材需要が高く、国有林野事業は黒字でしたが、外材の輸入増加などにより国産材の価格が低迷し、経営が困難になりました。2003年度末には、長期および短期の借入金を合わせて約1兆2800億円の債務を抱えていました。

林野庁以外の国有林を有する省庁

文部科学省（大学の演習林）
環境省（国民公園など）

関連情報

国有林野の管理経営に関する法律
三公社五[[現業]]
恩賜林
林道
緑のオーナー
地租改正

もう一度検索