潘辰

潘辰（はん しん）は、生年は不明ながら1519年に没した明代の学者であり官僚です。字（あざな）は時用（じよう）、号は南屏先生（なんぺいせんせい）と称しました。彼の本貫は処州府景寧県です。

生涯

幼い頃に両親を亡くした潘辰は、叔父を頼って北京で暮らすことになりました。そこで彼は文学の才能を開花させ、その名を知られるようになります。1493年（弘治6年）、弘治帝が山林に隠れた才能ある人物を推薦するよう全国に布告した際、府尹の唐恂が潘辰を推薦しました。しかし、吏部は潘辰が北京で育ったことを理由にこの推薦を一度は却下しました。唐恂は諦めずに再度上奏し、さらに給事中の王綸と夏昂も潘辰を推薦した結果、彼は翰林院待詔に任じられることとなりました。

翰林院では長きにわたり、典籍に関する事務を管掌しました。また、『大明会典』の編纂にも参加しています。1503年（弘治16年）には五経博士に昇進しました。しかし、1509年（正徳4年）5月、劉瑾が『大明会典』の些細な瑕疵を指摘したことから、潘辰は翰林院典籍に降格させられてしまいます。その後まもなく五経博士に復帰し、同年6月には翰林院編修となりました。1517年（正徳12年）には太常寺少卿に抜擢され、官僚としてのキャリアを積み重ねていきました。

1519年（正徳14年）8月、潘辰は職を辞し、同年12月に生涯を閉じました。

人物

潘辰は、若くして両親を失うという苦難を経験しましたが、その文学的才能と努力によって、官僚としての地位を確立しました。彼の生涯は、時の権力者によって左右される官僚社会の厳しさを物語ると同時に、才能ある人物がその能力を発揮することの重要性を示唆しています。

参考文献

* 『明史』巻152 列伝第40

もう一度検索