潮見

東京都江東区潮見：埋立地から生まれた多様な顔を持つ街

潮見は、東京都江東区の南部に位置する地名で、潮見一丁目と潮見二丁目から構成されています。深川地域に属し、その全域が埋立地である人工島から成り立っています。北は塩浜、東は新砂、南は辰巳、西は枝川と隣接し、四方を運河に囲まれた水辺の豊かな地域です。

地理と景観

潮見地区は、汐見運河、曙北運河、砂町運河、東雲北運河という四つの運河に囲まれており、水と緑が調和した景観が特徴です。地区の中央部にはJR京葉線が走り、潮見駅を中心に住宅地、商業施設、オフィスビルなどが集積しています。運河沿いには造船所や鉄工所、倉庫などが立地し、多様な機能が混在する地域となっています。

歴史

潮見の歴史は、埋立地の造成から始まります。明治時代から大正時代にかけて、河川改修工事の浚渫土砂を用いて埋め立てが行われました。特に、現在の潮見二丁目界隈は「深川枝川町地先第8号埋立地」と呼ばれ、その後、廃棄物処分場として利用された歴史を持ちます。この埋立地が「潮見」という名前のルーツであり、その歴史は東京港の発展とともに歩んできました。

蟻の街からの変遷

1960年、隅田公園にあった「蟻の街」が潮見に移転しました。これは、廃品回収を生業とする人々が暮らす場所で、移転により広大な敷地と最新の設備が整えられました。生活環境も改善され、公衆浴場や児童公園などの福利厚生施設も建設されました。蟻の街教会は、現在のカトリック潮見教会へと発展し、地域の精神的な支えとなっています。

江東区への編入と都市化

1968年、潮見は江東区に編入され、正式な住所を持つ地域となりました。当時は東京湾最南端の埋立地であり、廃棄物処分場としての役割も担っていましたが、海運関係の倉庫や鉄工所などが集まる準工業地域として発展しました。1990年には京葉線潮見駅が開業し、これを機に集合住宅やオフィスビルの建設が加速。近年では、東京ディズニーリゾートへのアクセスが良いことから、観光客向けのホテルも増加し、国内外からの観光客で賑わっています。

交通

潮見駅は、JR京葉線が乗り入れており、東京駅まで約15分という交通至便な立地です。また、都営バスや江東区コミュニティバス「しおかぜ」も運行しており、地域内の移動もスムーズです。首都高速9号深川線も利用でき、自動車でのアクセスも良好です。

施設

潮見には、大型集合住宅、小売店、飲食店、企業、行政機関、宿泊施設など、多様な施設が立地しています。マルエツなどのスーパーマーケットやコンビニエンスストア、牛丼チェーン店など、生活に必要な施設が充実しているほか、アパホテルや東京ベイ潮見プリンスホテルなどの宿泊施設も人気を集めています。また、DMG森精機やセンコーグループホールディングスといった大企業のオフィスも所在しています。

現在の潮見

京葉線潮見駅の開業をきっかけに、潮見は急速に都市化が進み、かつての埋立地や蟻の街の面影はほとんど残っていません。カトリック潮見教会が、その歴史を静かに物語っています。駅の西側は印刷業を中心とした準工業地域、東側はホテルが立ち並ぶエリアとなっており、マンションやオフィスビルがそれらを囲むように建設されています。運河沿いには造船所や倉庫などが点在し、多様な機能が共存する魅力的な街として発展を続けています。


潮見は、過去から現在に至るまでの変遷を経て、多様な魅力を持つ地域へと成長しました。埋立地としての歴史、人々の生活、そして未来への展望が交錯するこの街は、訪れる人々に新たな発見と感動を与えてくれるでしょう。

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