火龍 (映画)

映画『火龍』について

映画『火龍』（かりゅう）は、1986年に制作された中華圏の合作映画で、愛新覚羅溥儀の後半生を中心に描いています。監督はリー・ハンシャン（李翰祥）、日本では1987年9月に公開されました。ビデオの邦題は『火龍 ザ・ラスト・エンペラー』です。

概要

本作は、溥儀が第二次世界大戦後にソ連軍に捕らえられた後に中国に送還され、撫順収容所で教育を受け、一般市民として新たな生活を送る過程を描いています。彼は新たに妻を迎え、平凡ながらも幸せな日々を過ごします。しかし、文化大革命により彼の過去が蒸し返され、その過程で多くの困難と苦しみを経験することになります。特に、満州国時代の側室であった李玉琴からの責任追及と共に、紅衛兵の迫害によって彼の生活は深刻な影響を受け、最終的には腎臓癌で息を引き取る様子が妻の李淑賢の回想録をもとに描かれています。

物語の展開

時間の経過が描かれる中、溥儀はかつての華やかな過去と現在の厳しい現実との狭間で苦悩します。映画は彼の内面的な葛藤や、歴史的背景を織り交ぜながら進行し、彼がどのようにして自らの居場所を見出そうとしたのかを探求しています。特に、皇帝という立場がもたらした重圧や、文化大革命によってもたらされる理不尽な追及には、鋭い視点が示されています。

タイトルの意味

『火龍』というタイトルは、焼かれた龍、すなわち火葬された皇帝を意味し、溥儀が歴代の皇帝の中で唯一、火葬の屈辱を受けたことを示しています。しかしながら、火葬を屈辱的に捉えるのは儒教に由来する漢民族の文化であり、満州族出身である溥儀にとって火葬がどのように認識されていたのか、視点が分かれるところです。

キャスト

映画には多彩なキャストが出演しており、以下のような配役があります：

• - 溥儀役：レオン・カーフェイ（日本語吹き替え：野沢那智）
• - 李淑賢役：パン・ホン（日本語吹き替え：田島令子）
• - 婉容役：マーガレット・リー（日本語吹き替え：沢田敏子）
• - 李玉琴（福貴人）役：メリー・リー（日本語吹き替え：佐々木優子）
• - 周恩来役：ワン・ティエツェン（日本語吹き替え：仁内建之）
• - 金署長役：ワン・ユンティン（日本語吹き替え：今西正男）
• - 陳酔役：ワン・ペイ（日本語吹き替え：宮内幸平）
• - 陳毅役：ユー・リウェン（日本語吹き替え：糸博）
• - ナレーション：中西妙子（公開版）、岸田今日子（テレビ版）

特に注目すべきは、李玉琴役のメリー・リーと婉容役のマーガレット・リーが監督の娘である点です。

まとめ

『火龍』は、溥儀の浮き沈みのある人生を通して、歴史と個人の葛藤を映し出す力強い作品です。彼が直面した数々の苦難は、単なる一人の皇帝の物語ではなく、歴史的背景を抱える国全体の苦悩をも反映しています。

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