炉床

炉床（ろしょう）についての詳細

炉床とは、炉の底面に存在する重要な構造物のことを指します。この部分は炉の安全性や効率に大きな役割を果たし、特に耐熱性と耐久性が求められます。主に暖炉や冶金用の炉など、さまざまな用途の炉に用いられています。

暖炉の炉床

暖炉の炉床は、薪を燃やすために特に耐熱性の高い材料で構築されなければなりません。実際に薪が燃焼することで、炉床付近の温度は700℃から800℃に達します。このため、耐火煉瓦、砂岩、滑石、大谷石、溶岩、軽石コンクリート、鉄板、鋳鉄などの耐熱材料が多く使用されます。特に砂岩は一般的に使用される耐熱材料ですが、粘土分が多く含まれるものは割れる恐れがあるため注意が必要です。

暖炉の炉床は、薪を燃やす際の燃焼効率を高めるために、薪を床面から数センチ高く持ち上げる構造が特徴です。具体的な方法としては、耐火レンガを使用して凹凸を設ける方法や、鉄製の火格子を取り付ける方法、さらには装飾性を兼ねたファイヤードッグ（firedog）を設置する方法などがあります。

日本列島の炉の歴史

縄文時代から古墳時代以前の炉

日本列島における炉の歴史は古く、縄文時代の竪穴建物に見られる炉には、地面を掘りくぼめた地床炉、石で囲んだ石囲炉、さらには床に土器を埋め込んだ土器埋設炉といった多様な形態が存在していました。

古墳時代から中世の炉

古墳時代中期以降、従来の炉に代わる形で導入されたのがカマド（竈）です。このカマドは主に粘土を原料とし、さらに中世以降では砂岩系の石材が多く用いられるようになりました。これにより、より効率的で使いやすい炉が発展していったのです。

冶金用の炉と炉床

冶金における炉床も特に重要です。例えば、平炉（open hearth furnace）では、鉄を融かす場所、つまり加工対象を置く部分が炉床に該当します。また、チタンの電子ビーム溶解の際には、融けたチタンを精錬するための平らな皿状の場所が利用され、これもまた「ハース」と呼ばれています。これらの用語は、いずれも炉床を指すものですが、それぞれの用途に応じた特性や形状があります。

炉床材料

炉床に使用される材料は多様であり、耐熱性を求められます。一般的には、タイルや煉瓦などが利用され、これらの材料は炉が直面する高温環境に耐えるための特性を備えています。

このように、炉床はその構造や材質によって、炉の機能や効率、安全性に深く関与しています。歴史的な変遷を経て、今日の炉床は多様な形態を持ち、さまざまな条件に適応した設計がなされています。

もう一度検索