点石斎画報

『点石斎画報』の概要と影響

『点石斎画報』（てんせきさいがほう）は、19世紀後半の中国、清代末期の上海にて発行された絵入り新聞です。1884年5月に創刊し、1898年8月に528号まで刊行されました。この新聞は、当時の石版印刷技術を用いた代表的な作品であり、発行元はアーネスト・メイジャーが設立した申報館です。この新聞は、時事ネタから民俗情報まで、幅広いトピックを扱っていました。

幅広い内容の取り扱い

『点石斎画報』の記事は多岐にわたり、清仏戦争や日清戦争といった政治的な出来事から、蒸気機関車やエレベーターのような最新技術、さらには市井のゴシップや事件、科挙、妖怪、ゾウ、UFOなど、さまざまなテーマが取り上げられました。この時代の外国、特に日本に関する記事も多数掲載され、読者に新しい視点を提供しました。また、王韜の文言小説『淞隠漫録』も連載され、文学的価値も持っていました。

出版の背景

『点石斎画報』というタイトルは、発行元の申報館に併設された印刷所「点石斎石印書局」に由来します。この名は、石版印刷技術に関連し、成語「点石成金」も含意しています。価格は5分で、体裁は線装本冊子で各号に9つの挿絵が盛り込まれていました。月3回の発行で、12号ごとの合冊版も販売されるなど、大衆に向けたスタイルが特徴でした。

メイジャーは、現在の『申報』や『寰瀛画報』に代わる、より一般的な嗜好に合った新聞を必要と考え、また当時欧米で流行していた絵入り新聞の潮流を中国に導入することを目指しました。このような背景から、『点石斎画報』は瞬く間に人気を集め、全国各地に販売所が設けられるようになりました。他社が模倣を行う中でも、品質と継続性において本紙が際立っていたことが、この新聞の成功を物語っています。いかにして魯迅や包天笑といった著名な人物がこの新聞に言及したかも、その影響力を示しております。

現代における位置づけ

歴史的な資料としての『点石斎画報』は、1980年代から影印出版が進み、2010年代には電子化が行われ、多様な研究や文脈で引用されています。日本における研究の第一人者として知られる武田雅哉の先駆的な業績も目を引きます。従来の技術に捕らわれず、新しい視点を提供したこの新聞は、社会的、文化的な意味での重要性を今も持ち、人々に関心を寄せられ続けています。

イラストとその特徴

『点石斎画報』に掲載されたイラストに関しては、西洋のペン画技法や遠近法が積極的に用いられていました。これにより、従来の中国の伝統的な絵画スタイルを逸脱したため、保守的な立場からの批判も少なくありませんでした。特にエレベーターの描写は、絵師の想像や聞き取った話に基づいています。絵師たちは主に上海や蘇州で年画を手がけていた約20人の中国人であり、呉友如がその中心的な存在でした。彼は、清朝の朝廷においても評価されるなど、才能ある芸術家でした。1890年には独立して『飛影閣画報』を創刊し、その後も益々の影響を及ぼす存在となりました。

『点石斎画報』は、単なる新聞にとどまらず、当時の中国社会や文化、さらには技術革新を反映した重要なメディアでありました。それは、さまざまな情報を通じて社会の変革を促し、多くの人々に新しい考え方を提供したのです。

もう一度検索