為平親王

為平親王（ためひらしんのう）

為平親王は、平安時代中期の日本において重要な地位にあった皇族で、村上天皇の第四皇子として知られています。彼は冷泉[[天皇]]や円融[[天皇]]の同母兄弟であり、その皇族としての血筋は非常に価値のあるものでした。また、官職には一品・式部卿を持ち、「染殿式部卿」とも称されています。

経歴の概略

為平親王の生涯は多くの歴史的出来事と結びついています。天徳2年（957年）に村上天皇と初めて対面し、康保2年（965年）には左大臣源高明の加冠によって元服を迎えました。この際、源延光による理髪を受け、同期の年には高明の娘と結婚しました。彼の婚礼は、父である村上天皇の婚礼に倣ったものであり、これにより為平は将来の皇位継承候補として特別な待遇を受けていました。

村上天皇は、彼の生母である安子の実家である九条流と、賜姓皇族の筆頭である源高明を後見とすることで、為平親王の将来を安定させようとしたと考えられています。康保4年（967年）、村上天皇が崩御すると、為平の同母兄である冷泉[[天皇]]が即位しました。冷泉[[天皇]]は美しい容姿を持っていましたが、精神的に不安定な一面もあったため、藤原実頼が関白を務めることとなります。この時、為平親王が皇太弟になるとの期待が寄せられましたが、意外にも守平親王がその地位を得ました。

この決定に対しては、藤原氏の恐れが影響したのではないかと考えられています。源高明が為平親王が天皇として即位することを期待していたため、その外戚としての立場が強化されることを懸念したのかもしれません。この時期、安子とその妹である源高明の妻も死亡しており、九条流は為平親王を排除しようとする動きに転じたともされます。

安和の変とその後

安和2年（969年）には、源高明が冷泉[[天皇]]の退位を企図しているとの疑いをかけられ、大宰員外権帥に左遷される事件、いわゆる「安和の変」が発生します。この事件は、源満仲と藤原氏による高明排斥の陰謀であると言われ、為平親王にとっても波乱の場面が続きました。

貞元3年（978年）には、為平は輦車宣旨を受け、式部卿に任命されます。その後、彼は32年間もその地位を守り続け、長徳3年（997年）までには一品の地位にも叙せられました。これらの官職は、皇族中で最も優れた者に与えられるものであり、円融[[天皇]]や一条[[天皇]]の政治的配慮が伺えます。

為平親王が皇太弟に選ばれなかった理由については諸説あります。冷泉[[天皇]]の後継者が誕生するまでのつなぎ役として若い守平親王が選ばれたという考え方や、既婚の為平親王が次代を担うのに相応しくないと判断されたためだという説も存在します。冷泉[[天皇]]がようやく誕生した時は、すでに守平親王への譲位が決定していました。これは、為平親王の排除が藤原氏にとっても予期せぬ出来事であったことを示唆しています。

晩年と死

寛和元年（985年）には、為平親王の娘である婉子女王が花山天皇に14歳で嫁ぎ、女御となるものの、天皇は6ヶ月後に出家してしまいます。婉子女王はその後、藤原実資と結婚します。その後彼は病を患い、寛弘7年（1010年）には出家し、同年11月7日に59歳で亡くなります。

まとめ

為平親王は平安時代における皇族として、数々の歴史的事件と深く結びついていた事実が見て取れます。彼の生涯は、単なる皇族の生活を超えた複雑な権力闘争や家族の事情の渦に巻き込まれていました。その影響力や経歴は、日本の歴史における重要な要素の一つとして、今なお研究されています。

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