無声歯摩擦音

無声歯摩擦音（むせい は まさつおん）は、子音の一種であり、発音時に声帯の振動を伴わない無声音です。この音は、舌の先端を上の歯に近づけ、その間に作られた狭い隙間を空気が通過する際に生じる摩擦によって生成されます。国際音声記号では[θ]と表記され、ギリシャ文字のシータの小文字がその記号の由来となっています。

特徴

気流の起こし手

無声歯摩擦音は、肺から送り出される呼気を利用して発音されます。この気流は、発音のエネルギー源となります。

発声

この音は、声帯の振動を伴わない無声音として特徴づけられます。声帯の振動を伴う有声音とは対照的です。

調音

調音位置: 舌の先端を上の歯に近づけることで、歯音としての特徴を持ちます。
調音方法: 舌と歯の間で狭い隙間を作り、空気を摩擦させながら発音します。この摩擦によって特有の音が生じます。
口腔内の気流: 空気は舌の中央を通るように流れ、中線音として発音されます。
調音器官の接近度: 舌と歯の間に隙間を作り、空気の通り道を狭めることで摩擦音を生成します。
口蓋帆の位置: 口蓋帆は持ち上げられ、鼻腔への空気の通り道を塞ぐことで、口腔内のみで発音される口音となります。

言語例

無声歯摩擦音[θ]は、有声歯摩擦音[ð]と共に、独立した音素として持つ言語はそれほど多くありません。以下にいくつかの例を挙げます。

アイスランド語: þ
アラビア語: ث
アルバニア語: th
ウェールズ語: th
英語: th （例：think, bath）
ギリシャ語: θ
スペイン語（ceceo）: スペインの一部の地域では、z や c+i, e がこの音で発音されることがあります。
中南米: 中南米では、これらの文字が[s]で発音されることが一般的です（seseo）。
スワヒリ語: th
バシキール語: ҫ
トルクメン語: s

他の言語では、この音が借用された際に、無声歯茎閉鎖音[t]、無声歯茎摩擦音[s]、無声唇歯摩擦音[f]などで代用されることが多く見られます。また、話者によってはこれらの音が異音として認識される場合もあります。例えば、英語の発音をカタカナで表記する際、「th」の音は一般的に「さ行」で転写されることが多いです。

関連項目

有声歯摩擦音: 無声歯摩擦音と対をなす、声帯の振動を伴う摩擦音。
子音: 音声学における子音の分類。
* 国際音声記号: 音声を記述するための国際的な記号体系。特に子音の記号について。

無声歯摩擦音は、その発音方法や言語における使用頻度において、特徴的な音であると言えます。この音を理解することで、様々な言語の音韻体系への理解を深めることができるでしょう。

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