無外流

無外流剣術

無外流（むがいりゅう）は、1680年に辻月丹によって創始された剣術流派です。この流派は、特有の理念と技術を通じて発展し、日本の武道界において重要な位置を占めています。無外流は、他流派との違いを明確にするために、独自の哲学と体系を構築しました。

歴史的背景

辻月丹（幼名：兵内）は、近江国甲賀郡、現在の滋賀県甲賀市の出身です。彼は若い頃に京都で山口流剣術を学び、その後江戸に移り道場を開設しました。同時に、彼は麻布の吸江寺で石潭良全のもとで禅の修行も行い、精神的にも成長しました。延宝8年（1680年）に彼は石潭から「一法実無外 乾坤得一貞 吹毛方納密 動著則光清」という教えを受け、これを契機に無外流という名前が付けられました。

無外流の最盛期には、全国各地に門弟が広がりました。特に土佐藩では、上士である武士たちがこの流派の剣術を学び、幕末の四賢侯の一人である山内容堂も無外流の技術に親しんでいたとされています。ただし、居合術については無外流ではなく、長谷川英信流を学んでいたのです。さらに、無外流は前橋藩にも伝わり、江戸中期には姫路へ転封された際に高橋家がその伝承を担いました。この流派の系統は高橋派という呼称で知られています。

重要な人物と影響

無外流は多くの著名人にも影響を与えました。新選組の三番隊組長、斎藤一が無外流の使い手であったという説も広く流布しています。また、明治から昭和初期にかけて活躍した剣道家たちも無外流に関与しており、高野佐三郎、高橋赳太郎、川崎善三郎の3名は「警視庁の三郎三傑」と称され、いずれも無外流の技術を持っていました。彼らはまた、大日本帝国剣道形の制定に関与した重要な存在でもありました。

さらに、池波正太郎の小説『剣客商売』に登場する主人公たちが無外流の達人と設定されていることも、その認知度を高める要因となっています。

関連する流派や文献

無外流に関連する流派には、自鏡流や津田一伝流、無外流居合兵道などがあります。また、興味のある方には、以下の文献を参考にしていただくとよいでしょう。

• - 『月刊剣道日本』1977年5月号
• - 大森曹玄著『剣と禅』五章

終わりに

無外流は、その歴史的逸話や影響力から、今でも多くの武道家に影響を与え続けています。現代の剣道や武道のあり方においても、無外流の理念や技術が見受けられることがあるかもしれません。興味がある方は、ぜひその深い世界を探求してみてください。

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