山口流

山口流（やまぐちりゅう）

山口流は、山口卜真斎によって開かれた日本の伝統的な武術の一流派であり、特に剣術と居合に重点を置いています。俗称として山口一刀流とも呼ばれていますが、これは正式名称ではなく、一般的に使われる呼称です。山口流は、その中に兵法の技術を含んでおり、武道の精神や戦法が練り込まれています。

創始者と背景

山口卜真斎（本名：家利）は、常陸国鹿島の出身であり、若い頃から武術を専心して学びました。13歳の頃には天流の技術を学び始め、その後も鞍馬流、天然流、丸目流（タイ捨流）、神当流、當田流、伊井流（神道流）など、様々な流派に学ぶこととなります。卜真斎は、武士として多くの兵法勝負を繰り返し、技を磨いていきました。

ある日、卜真斎は京都で新富田と戦い、勝利を収めました。その結果として、新富田は彼のもとで修行することになり、卜真斎は京都に居を構えることになりました。彼の運命を変えた出来事は、元和6年（1620年）の朝、彼の家の庭で異人の童子が長短の二刀を振り回して呪文を唱えていたことです。この光景を目にした卜真斎は、自らの武術の奥義を得て、山口流を創始しました。

山口流は、その後特に富山藩や会津藩、南部藩に伝わり、土佐藩伝の無外流にも一部が併伝されていきました。流派の強みは多様な技術体系にあり、剣術の実践だけでなく、教えられる技術の幅広さから多くの武士たちに受け入れられました。

技術の特性

山口流は、最初こそ二刀流を主体としていましたが、次第に一刀の剣術（中太刀術）と小太刀術が体系化されました。この流派の技術には、中太刀を表に、小太刀を裏に位置付けて展開する独自のスタイルがあります。また、「秘剣之大事」と称する小太刀を手裏剣のように投げる技や、「口呪之大事」と呼ばれる九字護身法など、基本的な技に加えた特殊技術も多く含まれています。これら技術は、流派の根幹を成すものであり、山口流の特色となっています。

参考文献と関連項目

山口流に関する詳細な情報は、以下の文献に収載されています。

• - 『無外流兵法譚』
• - 『撃剣叢書』（名著刊行会）
• - 『武芸流派大事典』（綿谷雪）

また、関連項目として無外流（流祖の辻月丹が学んだ）、無眼流（流祖の三浦源右衛門が学んだ）、斎藤一（学んだとの説あり）、中山博道（明治時代に富山で斎藤理則から学んだ）などが挙げられます。これらの武道流派も、山口流と同様に日本の武道の歴史を形成してきた重要な存在です。

結論

山口流は、歴史的背景と多様な技術を持つ武術流派です。卜真斎の挑戦と探求によって生まれたこの流派は、剣術や居合の域を超えて、兵法に基づく深い武の智慧を伝えています。

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