無文土器

無文土器（むもんどき）

無文土器は、朝鮮半島の青銅器時代における重要な土器のひとつで、その名の通り、装飾が施されていない特徴を持っています。この土器は、地元の文化に根づいており、土器の表面には一般的に櫛目模様などの幾何学模様が見られないため、無文土器と呼ばれています。同様の土器が沿海州でも見つかることから、その歴史的な広がりも感じられます。

無文土器の存在する時代はおおよそ前1千年紀前半期から始まっており、その下限は場所によって異なります。北部では前3世紀頃、南部では紀元前後にあたると推測されています。この土器は、特に日本の弥生文化の成立にも大きな影響を与えており、北部九州や山口地方からは弥生土器と共に粘土紐貼付口縁土器が発掘されています。さらには、後期の無文土器は日本の各地で見つかることが多く、吉野ヶ里遺跡では朝鮮系の無文土器が多く発見されています。

起源

無文土器時代の始まりは、朝鮮における水稲作の始まりとほぼ一致します。このことから、無文土器は長江文明に由来する水稲作をもたらした人々によって広まった可能性が考えられます。考古学者の崎谷満は、長江文明の担い手はY染色体ハプログループO1b（O1b1/O1b2）系統であると指摘しています。長江文明の衰退に伴い、O1b1と一部のO1b2は南下し、百越と呼ばれ、その後残りのO1b2は西方及び北方へと広がったとされています。この流れを受けて、無文土器を朝鮮にもたらした人々はO1b2系統に属していたと推測されます。現在、O1b2系統は朝鮮民族の約20～40％に見られることが確認されています。

無文土器はただの土器にとどまらず、朝鮮半島の古代文化の中で重要な役割を果たし、その後の歴史にも影響を与えています。特に弥生文化との関連性を考えると、無文土器は日本文化の形成にも寄与した相互関係を示唆しています。無文土器を通して見ることで、古代アジアの交流の様子や、人々の生活様式を理解する手助けとなるでしょう。

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