無線用語

無線用語

無線用語とは、各種無線通信業務において使用される専門用語の総称です。これらの用語は、国際電気通信連合（ITU）の無線通信規則（RR）や、日本の総務省令である無線局運用規則（以下、「運用規則」と略す）によって規定されています。

概要

無線用語は、単に通信を円滑に進めるだけでなく、正確かつ迅速な情報伝達を可能にするために不可欠です。ITUは、海上業務用略符号や略語を勧告として定めており、日本ではこれらを踏まえ、運用規則の別表に独自の略符号や略語を規定しています。さらに、複数の無線局のコールサインを一括表示する識別符号も用いられます。

無線従事者は、通信操作を行う際、運用規則に基づき、無線電信では別表第2号、無線電話では別表第4号に定められた略符号や略語を使用することが義務付けられています。これらの知識は、無線従事者国家試験でも問われる重要な要素です。特に、海上通信や航空通信においては、国際海事機関（IMO）や国際民間航空機関（ICAO）が定める標準用語が推奨されています。

運用規則では、使用する用語は可能な限り簡潔であることが求められています。また、電波法では、実験局やアマチュア局での暗語使用が禁止されています。ただし、その他の無線局では、慣習的に略語や派生語、俗語が使われることもあります。

無線局運用規則

無線局運用規則は、無線通信における具体的な用語の使用方法を定めています。以下に、主な規定と変遷について説明します。

別表

無線電信用:
Q符号：別表第2号の「無線電信通信の略符号」に規定されています。
その他の略符号：別表第2号の「無線電信通信の略符号」に規定されています。
無線電話用:
別表第4号「無線電話通信の略語」に規定されています。

沿革

無線用語の規定は、時代の変化とともに改正されてきました。

昭和25年（1950年）：無線電信用にZ略語や和文略語が規定されました。
昭和28年（1953年）：航空関係の無線電信用およびラジオテレタイプ用略語が追加されました。
昭和30年（1955年）：一部の略語が追加・削除され、表現が整理されました。
昭和36年（1961年）：Z略語が削除され、新たな略符号が追加されました。
昭和44年（1969年）：無線電話用の略語が改称・削除され、告示に移行しました。
昭和50年（1975年）：無線電話通信の略語が改正され、一部の略語が変更・追加されました。
昭和59年（1984年）：一部の略語が削除されました。
平成2年（1990年）：無線電信用・無線電話用ともに、新たな略符号が追加されました。
平成11年（1999年）：無線電話通信の略語の注釈が変更されました。

告示

運用規則の別表以外にも、告示によって固定業務用の略語や漁業通信用の略語、航空用の無線電話略語が規定されています。これらの略語は、それぞれの業務において特定の目的で使用されます。

固定業務用: モールス自動機やラジオテレタイプの通信設定に使用されます。
漁業通信用: モールス通信に使用されます。発見日時や位置、透明度、水温、魚群などの情報を伝達します。
航空用: Q符号やその他の略符号、一般略語、要撃時に使用する略語、業務識別に使用する略語などが規定されています。

派生語、俗語

無線用語の中には、通信士やアマチュア無線家、CB無線家などによって作られた俗語も存在します。これらの俗語は、必ずしも公式なものではありませんが、無線通信の現場で慣習的に使われています。

例えば、電信で使用されるQ符号は国際的に通用しますが、電話で使用される「CQ」は、公式には「各局」という表現が定められているにも関わらず、慣例的に多用されています。ただし、一部の俗語は、自身の運用を疑われる可能性があるため、使用には注意が必要です。

まとめ

無線用語は、無線通信を円滑に行うための重要な要素です。国際的なルールから日本国内の法令、さらに無線家の間で使われる俗語まで、幅広い知識が必要です。本記事を通じて、無線用語に対する理解を深め、より安全で効率的な無線通信に役立てていただければ幸いです。

関連項目

Q符号

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