煉瓦亭

煉瓦亭：銀座の老舗洋食店の歴史と魅力

1895年（明治28年）創業、東京都中央区銀座に店を構える老舗洋食店「煉瓦亭」。
その歴史は深く、日本の洋食文化に大きな影響を与えてきました。

創業から現在まで

創業者は山本音次郎氏で、二代目店主の木田元次郎氏は山本音次郎氏の縁者にあたります。
現在の四代目オーナーは木田明利氏です。
明治時代という西洋文化が日本に流入しつつあった時代に創業した煉瓦亭は、洋食メニューを日本人好みにアレンジし、独自のスタイルを確立していきました。

メニューと調理法

煉瓦亭の代表的なメニューといえば、豚カツ、オムライス、カキフライ、エビフライ、ハヤシライスなど。
これらのメニューの多くは、木田元次郎氏によって考案された、あるいはアレンジされたものとされています。
特に注目すべきは、「皿にライスを盛る」というスタイルです。
当時は、洋食はパンと一緒に提供されるのが一般的でしたが、客からの要望により、ご飯を皿に盛って提供するスタイルを採用したと言われています。
これは、ナイフとフォークでご飯を食べることを考慮した、当時としては画期的な発想だったと言えるでしょう。

また、豚カツは、当初は「カツレツ」と呼ばれ、ドミグラスソースで提供されていましたが、日本人向けにウスターソースに変更することで、現在の定番メニューとなりました。
これは、ドミグラスソースが日本人には味が濃すぎるとの意見が反映された結果です。
さらに、キャベツの千切りは、日露戦争時にコックが徴兵されたため、調理の手間を省くために考案されました。「キャベツの一夜漬け」からヒントを得て、食べやすく、ソースにも合う千切りキャベツが誕生したのです。

オムライスは、当初は賄い料理として作られたものでした。
手早く簡単に作れる料理として、溶き卵、ミンチ、タマネギ、ご飯を混ぜ合わせてフライパンで焼き上げるシンプルな料理でしたが、客からの要望を受け、メニューに加えられました。

ハヤシライスもまた、煉瓦亭を代表する人気メニューの一つです。
「ハッシュドビーフアンドライス」という名前で始まり、「ハッシュドライス」を経て、「ハヤシライス」という現在の名前に落ち着きました。
三代目店主は、日本橋丸善のハヤシライスはチャプスイに近いとし、ドミグラスソースを使ったハヤシライスは煉瓦亭が発祥であると主張しています。

しかし、これらのメニューの起源や調理法については、諸説あります。
2017年以降、煉瓦亭がこれらの洋食を発明したわけではないとする論考も発表されており、正確な経緯は更なる検証が必要です。

店舗と歴史

現在の煉瓦亭の店舗は、1964年（昭和39年）に建てられました。
1982年には、山本益博の「東京味のグランプリ」で最高評価の三ツ星を獲得するなど、高い評価を得ています。
2023年3月16日には、韓国の尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相が訪れ、夕食後の懇親会を開いたことも話題となりました。

メニュー例

煉瓦亭では、上記の代表的なメニューに加え、チキンカツレツ、メンチカツレツ、オムレツ、ハンバーグステーキ、スパゲティナポリタン、コンソメスープ、ポタージュスープなども提供されています。

まとめ

1895年創業の煉瓦亭は、日本の洋食文化の発展に貢献した老舗洋食店です。
独自の調理法やメニュー開発、そして歴史を通して培ってきた高い技術と伝統は、多くの人々を魅了し続けています。
銀座を訪れた際には、ぜひ一度足を運んで、その味を堪能してみてはいかがでしょうか。

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