熊使い

熊使い

熊使い（くまつかい）とは、クマを使った大道芸、またはクマを使役する人を指します。特に音楽に合わせてクマが踊る芸は「ダンシング・ベア」と呼ばれることがあります。熊使いは、南アジアから中東、欧州、ロシアにかけて見られる文化です。

各地域での熊使い

南アジア・中東

インドでは主にナマケグマが使われます。クマには鼻輪や口輪が付けられ、熊使いは歌いながらロープと棒でクマを操り、踊らせます。この芸は子グマの頃からの訓練が必要です。かつてインドでは観光地でよく見られましたが、クマの減少により規制が進み、熊使いの数は減少し、クマは野生保護施設に移されています。

パキスタンでも熊使いが見られます。ジプシーはツキノワグマにダンスをさせたり、クマのレスリングを行ったりします。彼らは野生のクマや子グマを捕獲して使います。

欧州・ロシア

欧州やロシアではヒグマが使われ、音楽に合わせて踊る大道芸が行われます。クマは鎖やロープで繋がれた首輪をしています。ロシアでは17世紀までスコモローフが熊使いをしていました。ジプシー（ロマ）やウルサリも大道芸を行います。20世紀にはサーカスの隆盛により大道芸は衰退しましたが、一部は残っています。20世紀初頭の満州ハルビンには「熊踊り」という大道芸がありました。

ブルガリアでもジプシー（ロマ）が路上で熊使いの芸を披露します。ここではガドゥールカという楽器が使われます。

音楽

熊使いは音楽の題材にもなっています。ロシアのバレエ音楽「ペトルーシュカ」には熊使いが登場します。ハンガリーの作曲家バルトーク・ベーラの管弦楽曲「ハンガリーの風景」の第2曲は「熊踊り」というタイトルです。同じくバルトークのピアノ独奏曲ソナチネも第2楽章が「熊踊り」です。ルーマニアのジプシーバンド「タラフ・ドゥ・ハイドゥークス」の「ウルサリのホラ」という曲には「熊遣いのロマの輪舞」というサブタイトルが付いています。

絵画

熊使いを題材にした絵画も存在します。ヘンリー・ウィリアム・バンバリーの「The Dancing Bear」では、路上での大道芸の様子が描かれ、中央に立ったクマ、右に熊使い、見物料を集める人、左に楽器を持った人々や猿を肩に乗せた旅芸人が描かれています。ウィリアム・リーハンキーの「The Dancing Bear」では、石畳の道を熊使いに引かれ、口輪を付けたクマが四足で歩く様子が描かれ、通行人がそれを見物しています。

関連項目

大道芸
ジプシー
闘熊（ベア・ベイティング）
熊農場

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