熊本市交通局1080形電車

熊本市交通局1080形電車

熊本市交通局にて運行されている路面電車、1080形は1954年に導入された電車です。この車両はもともと180形として登場し、その後ワンマン運転に対応する改造が施されました。この改造を経て、1080形として再編され、現在まで活躍しています。

導入と歴史

1080形は、熊本市交通局が1954年に導入した7両のボギー車です。この車両のメーカーは、184・185号が東洋工機、残る5両は新木南車輌によるものでした。1949年の120形以来の6形式目としての導入で、ボギー車はすでに27両を数えていました。1970年代にかけて路線の縮小が行われた中でも、1080形は廃車されることなく残存し続けましたが、少しずつ廃車が進行し、現在では1081号と1085号の2両のみが在籍しています。

車両構造

1080形は、半鋼製の低床構造を持つボギー車で、全長は12メートル、幅は2.3016メートル、高さは3.142メートルです。自重は15.3トンで、冷暖房設置後には16.4トンに増加します。

車体前面

中央に存在する幅広の大型窓を配した前面デザインが特徴的です。元々は下降窓でしたが、後に2段窓に改修されました。前照灯は中央窓下に位置し、尾灯はワンマンカー改造時に前照灯両脇に設置されました。

車体側面

側面には片側2箇所ずつ、計4つの客室扉があり、進行方向によって扉の配置が左右非対称になっています。ドア配置のスタイルが本形式から採用され、以降の標準となりました。また、側面窓は上下に分かれた二段窓のデザインです。

車内

車内は最大幅2.03メートル、長さ9.84メートルで、ロングシートの座席配置を採用しています。元々は座席定員70人でしたが、ワンマン車改造後に72人に変更され、その後は69人となりました。

主要機器

1080形は、さまざまな主要機器を装備しています。台車や電動機履行には東洋電機製造や日立製作所によるものが採用され、標準的な仕様に準拠しています。集電装置はワンマンカー改造でZ型パンタグラフに変更されました。

改造歴

1966年から始まった熊本市電のワンマン運転を受け、1080形も順次改造が施されました。具体的には、尾灯の変更や集電装置の入れ替え、車体塗装の変更などが行われ、運賃の支払いシステムも改善されました。

さらに、1978年には冷房装置が設置され、車両の耐久性と快適性が向上しました。この冷房装置は、新開発されたものが搭載され、熊本市電の他の車両にも広がりました。

廃車の進展

1080形は元々7両が製造されましたが、廃車が続き、2023年現在では1061号と1085号のみが残存しています。一番初めに廃車されたのは1977年の1086・1087号ですが、その後も冷房車として運行されていた車両も次第に廃車となっています。

車体塗装とデザインの変遷

新造時の車両は、紫青とクリーム色の組み合わせが特徴でした。その後、ワンマンカー改造によってクリーム色を基調にした紺色帯の塗装へと変わり、さらに1980年代には帯の色が緑色になりました。1990年代には、クリーム側に緑の帯を巻くデザインが標準化され、1080形でもこの色が採用されました。

結論

熊本市交通局の1080形電車は、その歴史や性能、独特の車体デザインによって現在も多くの人々に親しまれています。地域の交通機関としての役割を果たし続けながら、年代を重ねた今でも利用者による愛着を感じさせる車両です。

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