東洋工機
東洋工機株式会社（とうようこうき、英文名：TOYOKOUKI Co,.Ltd.）は、現在、鉄道車両向けの電気機器のメンテナンスや修理、様々な部品の製造を手がける企業です。神奈川県平塚市に本社を構え、東京都千代田区に営業本部、名古屋、大阪、広島、九州にも営業拠点を持ち、平塚工場を中心に事業を展開しています。資本金は1億円です。
同社はかつて、日本の鉄道車両製造の一翼を担っていました。その起源は、1935年（昭和10年）9月に東京・品川で設立された日本鉄道自動車工業株式会社に遡ります。設立当初から鉄道車両製造を手がけ、1939年（昭和14年）12月には東京芝浦電気（現在の東芝）と業務提携を結びます。戦後間もない1946年（昭和21年）9月には平塚工場を建設し、車両製造体制を強化しました。1951年（昭和26年）5月には社名を日本鉄道自動車株式会社に変更し、特殊自動車分野にも進出します。1953年（昭和28年）7月に東洋電機製造株式会社の系列となり、翌1954年（昭和29年）5月には現在の社名である東洋工機株式会社に改称しました。
高度経済成長期を経て、1970年（昭和45年）4月には鉄道車両製造事業から撤退し、鉄道車両向けの電動機や駆動装置などの修理・保守部門を設置します。その後、工場の集約を進め、1989年（平成元年）8月に品川工場を平塚工場へ統合。1990年（平成2年）には京都工場を一時開設しましたが、1998年（平成10年）10月にはこれも平塚工場へ集約されました。この間、1990年（平成2年）8月には本社も平塚へ移転しています。1992年（平成4年）1月には平塚に新たな工場（第2工場）を建設するなど、生産体制の再編・強化を行いました。また、1998年（平成10年）からは東洋電機製造の制御機器製作も担当しています。営業本部も2001年（平成13年）5月に品川から東神田へ移転しています。
日本鉄道自動車工業時代（戦前・戦中・戦後）
設立から1940年代にかけて、同社は大阪の木南車輌製造と並び、小ロットでの車両供給に強みを持つ新興メーカーとして注目されました。特に日中戦争や太平洋戦争中の戦時体制下、そして戦後の混乱期には、物資統制や混乱の影響で大手メーカーからの車両調達が困難だった地方私鉄や、多数の路面電車を必要とした事業者など、特定のニーズに応える存在として重宝されました。当時の鉄道愛好家の間では、「日鉄自（にってつじ）」の略称で親しまれています。競合した木南車輌が先進的なデザインを追求したのに対し、「日鉄自」の車両は朴訥とした印象ながらも、半流線形や大きな二段窓を採用するなど、軽快感のある小型・中型車両を比較的安価に提供しました。製造された車両の中には、既存の電車や客車から台車や台枠、電装品などを再利用して造られた、いわゆる「機器流用車」が少なからず存在しました。これらの車両は、ベースとなった種車や改造に至る複雑な経緯から、鉄道趣味者の間でも深い関心を集める事例が多く見られます。
東洋工機時代（戦後～車両製造中止まで）
東洋電機製造の系列に入り、東洋工機と改称してからは、親会社の仲介によりアメリカのGATC社からエアスライド荷役装置に関する技術特許を取得し、国鉄向けの私有ホッパ貨車を数多く製造しました。電車や電気機関車については、上信電鉄200形や三岐鉄道ED45形のような半流線形のスタイルを持つ車両を一部の地方私鉄向けに製造しましたが、その数は以前に比べると限定的でした。特に相模鉄道に納入されたED11・12形電気機関車は、「東洋工機スタイル」と呼ばれる独自のスタイルを持つ電気機関車の元祖とされています。
札幌市交通局（500形、600形）
東京都交通局（800形）
相模鉄道（ED10形）
上信電鉄（デハ20形・クハ20形、デハニ30形・クハニ10形、200形）
越後交通（モハ212形、モハ216形、クハ101形）
北陸鉄道（モハ1000形、モハ3000形、サハ2000形、ED30形）
三岐鉄道（モハ120形・モハ130形・クハ210形、ED45形）
熊本市交通局（1080形、1090形、1200形、1350形）
* 鹿児島市交通局（500形）
その他、宮城電気鉄道、武蔵野鉄道、南武鉄道、川崎市交通局、名古屋鉄道、近江鉄道、宇部電気鉄道、西日本鉄道など、多数の鉄道事業者に車両を供給しました。
1970年に車両製造から撤退して以降は、鉄道車両用電気機器の保守、修繕、各種部品の製造を主力事業としています。JR各社、JR関連会社、公営鉄道、民鉄各社などを主要取引先としており、その技術と信頼は現在の鉄道運行を支えています。主な関連会社としては、東洋電機製造、泰平電機、東洋産業、東洋商事、ティーディー・ドライブなどがあります。
東洋工機株式会社は、かつて個性的な車両を世に送り出した鉄道車両メーカーとしての歴史を持ちながらも、時代に合わせて事業内容を変化させ、現在は鉄道車両の維持・運行に不可欠なメンテナンスや部品供給で重要な役割を果たしている企業です。
同社はかつて、日本の鉄道車両製造の一翼を担っていました。その起源は、1935年（昭和10年）9月に東京・品川で設立された日本鉄道自動車工業株式会社に遡ります。設立当初から鉄道車両製造を手がけ、1939年（昭和14年）12月には東京芝浦電気（現在の東芝）と業務提携を結びます。戦後間もない1946年（昭和21年）9月には平塚工場を建設し、車両製造体制を強化しました。1951年（昭和26年）5月には社名を日本鉄道自動車株式会社に変更し、特殊自動車分野にも進出します。1953年（昭和28年）7月に東洋電機製造株式会社の系列となり、翌1954年（昭和29年）5月には現在の社名である東洋工機株式会社に改称しました。
高度経済成長期を経て、1970年（昭和45年）4月には鉄道車両製造事業から撤退し、鉄道車両向けの電動機や駆動装置などの修理・保守部門を設置します。その後、工場の集約を進め、1989年（平成元年）8月に品川工場を平塚工場へ統合。1990年（平成2年）には京都工場を一時開設しましたが、1998年（平成10年）10月にはこれも平塚工場へ集約されました。この間、1990年（平成2年）8月には本社も平塚へ移転しています。1992年（平成4年）1月には平塚に新たな工場（第2工場）を建設するなど、生産体制の再編・強化を行いました。また、1998年（平成10年）からは東洋電機製造の制御機器製作も担当しています。営業本部も2001年（平成13年）5月に品川から東神田へ移転しています。
車両製造事業の軌跡
日本鉄道自動車工業時代（戦前・戦中・戦後）
設立から1940年代にかけて、同社は大阪の木南車輌製造と並び、小ロットでの車両供給に強みを持つ新興メーカーとして注目されました。特に日中戦争や太平洋戦争中の戦時体制下、そして戦後の混乱期には、物資統制や混乱の影響で大手メーカーからの車両調達が困難だった地方私鉄や、多数の路面電車を必要とした事業者など、特定のニーズに応える存在として重宝されました。当時の鉄道愛好家の間では、「日鉄自（にってつじ）」の略称で親しまれています。競合した木南車輌が先進的なデザインを追求したのに対し、「日鉄自」の車両は朴訥とした印象ながらも、半流線形や大きな二段窓を採用するなど、軽快感のある小型・中型車両を比較的安価に提供しました。製造された車両の中には、既存の電車や客車から台車や台枠、電装品などを再利用して造られた、いわゆる「機器流用車」が少なからず存在しました。これらの車両は、ベースとなった種車や改造に至る複雑な経緯から、鉄道趣味者の間でも深い関心を集める事例が多く見られます。
東洋工機時代（戦後～車両製造中止まで）
東洋電機製造の系列に入り、東洋工機と改称してからは、親会社の仲介によりアメリカのGATC社からエアスライド荷役装置に関する技術特許を取得し、国鉄向けの私有ホッパ貨車を数多く製造しました。電車や電気機関車については、上信電鉄200形や三岐鉄道ED45形のような半流線形のスタイルを持つ車両を一部の地方私鉄向けに製造しましたが、その数は以前に比べると限定的でした。特に相模鉄道に納入されたED11・12形電気機関車は、「東洋工機スタイル」と呼ばれる独自のスタイルを持つ電気機関車の元祖とされています。
主な納入先と製造車両（過去の実績より抜粋）
札幌市交通局（500形、600形）
東京都交通局（800形）
相模鉄道（ED10形）
上信電鉄（デハ20形・クハ20形、デハニ30形・クハニ10形、200形）
越後交通（モハ212形、モハ216形、クハ101形）
北陸鉄道（モハ1000形、モハ3000形、サハ2000形、ED30形）
三岐鉄道（モハ120形・モハ130形・クハ210形、ED45形）
熊本市交通局（1080形、1090形、1200形、1350形）
* 鹿児島市交通局（500形）
その他、宮城電気鉄道、武蔵野鉄道、南武鉄道、川崎市交通局、名古屋鉄道、近江鉄道、宇部電気鉄道、西日本鉄道など、多数の鉄道事業者に車両を供給しました。
現在の事業と関連会社
1970年に車両製造から撤退して以降は、鉄道車両用電気機器の保守、修繕、各種部品の製造を主力事業としています。JR各社、JR関連会社、公営鉄道、民鉄各社などを主要取引先としており、その技術と信頼は現在の鉄道運行を支えています。主な関連会社としては、東洋電機製造、泰平電機、東洋産業、東洋商事、ティーディー・ドライブなどがあります。
まとめ
東洋工機株式会社は、かつて個性的な車両を世に送り出した鉄道車両メーカーとしての歴史を持ちながらも、時代に合わせて事業内容を変化させ、現在は鉄道車両の維持・運行に不可欠なメンテナンスや部品供給で重要な役割を果たしている企業です。
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