熊本県民の歌

熊本県民の歌

「熊本県民の歌」は、日本の熊本県において、1960年に開催された第15回国民体育大会に絡んで制定された楽曲です。この歌は、熊本県の豊かな自然や歴史を描写した歌詞が特徴で、作詞者は坂井秀雄、作曲は出田憲二が担当しています。この県民歌は、地域のアイデンティティを象徴する重要な役割を持っています。

背景

熊本県は、1943年に「菊池盡忠の歌」を県民歌として制定しましたが、戦後にGHQによって演奏が禁止されたため、その後は公的に歌われなくなりました。このような経緯から、1960年には新しい県民歌の必要性が高まったのです。第15回熊本国体に合わせて、新たに県民歌を制作するため、熊本国体実行委員会が中心となり、懸賞公募が行われました。

1959年11月19日には、その審査結果が発表され、坂井秀雄の詞が入選し、「熊本県民の歌」が誕生しました。歌詞には熊本の象徴的な自然や文化、阿蘇山、熊本城、白川、球磨川、天草諸島などが取り入れられています。また、この歌の著作権は2015年に満了しました。

初演とその後の展開

「熊本県民の歌」は1960年2月13日に県立図書館ホールで初めて演奏されました。以来、この歌は熊本の地域イベントや行事で度々演奏され、熊本県民にとって親しみ深い楽曲となっています。1999年には第54回くまもと未来国体の開会式において、39年ぶりに演奏され、熊本の人々に感動を与えました。さらに、2016年には熊本地震からの復興を願って、県出身の書道家が歌詞全体をまとめた作品を県に寄贈するという出来事もありました。

公式な地位

この曲は正式な県民歌としての認知に関して、多くの議論があります。制定主体が熊本県ではなく、熊本県体育協会などで構成される「熊本国体実行委員会」であったため、正式な都道府県民歌としてカウントされないことがあります。しかしながら、熊本県庁では「熊本県民の歌」を電話の保留音として使用しているほか、県統計協会が発行する県民手帳にも掲載されています。また、熊本放送は長年テレビ番組のオープニングやクロージングでこの歌を流してきました。これらの事実から、この曲は「事実上の県民歌」として広く受け入れられています。

その他の楽曲との関係

1984年には「火の国旅情」という楽曲が県のPRに利用され、2012年にはその楽曲をまとめたDVDが「熊本県民歌・火の国旅情 〜全35番〜」として販売されるなど、紛らわしい状態が生じました。このような理由から、「熊本県民の歌」と「火の国旅情」を区別する際には「大阿蘇」という名前で呼ばれることもあります。「火の国旅情」は県民に広く親しまれ、公式には「県民歌」とは言い難いものの、「県民愛唱歌」としての存在感を持っています。

まとめ

「熊本県民の歌」は、熊本の自然や文化を称える美しいメロディと歌詞を持った楽曲であり、その歴史と地域への愛着を感じさせる重要な作品です。時代を超えて親しまれているこの歌は、熊本県民の誇りとも言うべき存在となっています。今後も多くの人々に歌い継がれ、熊本の文化を支えていくことでしょう。

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