熊津都督府

熊津都督府について

熊津都督府（ゆうしんととくふ）は、唐が百済を滅ぼした後、百済の旧臣地域を統治するために設立された植民地です。この制度は660年に百済が滅亡した後、旧百済領を統治するために設けられました。当時、熊津都督府は現在の忠清南道の地域に位置し、多くの都督府や府が置かれました。

沿革

660年、唐が百済を滅ぼしたことにより、その旧域は熊津都督府の管轄下に置かれました。熊津都督府の治所は泗沘城に設けられ、さらに馬韓府、東明府、徳安府、金連府、帯方州が設置されました。各府はそれぞれの地域を担当し、13の県を熊津都督府が、4つの県を東明都督府が、1つの県を金連府が、4つの県を馬韓都督府が、6つの県を帯方州が統治しました。

熊津都督府は唐軍将領の王文度が死去した後、百済復興の動きが高まります。扶余璋の従子福信は、王文度の死に伴う政治的混乱を利用し、百済復興に向けて日本から扶余豊を擁立。周留城を拠点として唐に対抗しました。しかし661年、唐の将軍劉仁願が熊津都督に任命されたのち、663年の白村江の戦いで百済・日本連合軍が敗北し、復興の試みは挫折しました。

唐の統治とその後

百済の再興運動が失敗した後、劉仁願は唐に帰国し、さらに劉仁執が百済地域の防衛を担当しました。劉仁執は被害を受けた地域の復興に努めましが、665年に各都督府の統合が進み、熊津都督府が新たに設立された7州及び13県を統括する形に再編成されました。この際に、泗沘城を府治に定められた扶余隆が熊津都督に任命されますが、彼は新羅の侵略を恐れ、実際には唐軍将領の劉仁軌がその任務を代行しました。

670年、新羅が反乱を起こし、熊津都督府の82城が陥落するなど、さらなる混乱を招きました。その後も新羅の侵攻が続き、最終的にはたびたび唐の勢力が百済地域から失われました。676年には、熊津都督府が泗沘から建安故城へ移転されることとなり、その後安東都護府との統合が行われました。

新羅の行政機構

686年には新羅が熊津州に新たな熊津都督府を設置。757年にはこれを熊川と改称し、さらに940年には高麗によって公州と名を改められました。983年には公州府へと昇格しています。

日本との関係

熊津都督府の設立以降、百済旧域には倭人が活動していました。661年に実施された羅済会盟の際、倭人たちが登場し、彼らは熊津都督府の一部として外交活動に関与していました。671年には倭人たちが唐軍の出動のために対馬に派遣されることもありました。このように、熊津都督府は倭人を外交活動に活用し、彼らのネットワークを継承・活用していました。

結論

熊津都督府は唐の影響力が強かった時代における重要な行政機関として機能しましたが、時間が経つにつれ新羅などの勢力に飲み込まれていきました。設置から数十年後には唐の影響は薄れ、新たな政権による支配が進むことになりました。このような歴史は、朝鮮半島の政治的変遷を理解する上で重要な要素と言えるでしょう。

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