安東都護府

安東都護府の概要とその沿革

安東都護府（あんとうとごふ）は、684年に唐によって設立され、高句麗の滅亡後、主に高句麗の旧土を管理するための統治機関でした。この機関は、朝鮮半島北部から満洲南部にかけての地域を管轄し、唐の影響力を示す重要な役割を果たしました。

設立の背景

668年、唐は高句麗を滅ぼし、その後、旧高句麗領を安東都護府、旧百済領を熊津都督府、新羅を鶏林州都督府としたことで朝鮮半島全体を唐の藩属国として位置づけました。この時期、唐の政策により高句麗や百済は完全に独立を失い、朝鮮半島における国政は唐の支配下に置かれることとなりました。

沿革

安東都護府は668年に設立され、その当初は平壌を中心に鴨緑江下流域と遼東地区を管轄しました。しかし、676年には新羅による侵略の影響を受け、安東都護府は平壌の一部を放棄し、遼東城へと移転しました。その後も安東都護府は高句麗の遺領や新たに支配する地域を管理しました。特に697年には、滅亡した高句麗の王族である高徳武が安東都督に任命されるなど、政治的な変化が見られました。

705年には、大祚栄が武周の招安を受けて安東都護府の範囲が拡大しますが、安史の乱の結果、773年頃にこの機関は廃止されてしまいます。

影響と評価

伊藤一彦によると、安東都護府の設立は、中国の直接的な支配が朝鮮半島全域から姿を消す転機となりました。これは700年代後半の大きな歴史的変化を意味し、高句麗や百済から新羅へと移り変わる、朝鮮半島の政治史における重要な出来事です。

歴代の都護

安東都護府には多くの都護が任命されました。最初の都護である魏哲から始まり、数人の著名な都護が続きました。たとえば薛仁貴や屈突詮などが知られています。各都護は異なる時期に、さまざまな政策を展開し、地域の安定や発展に努めました。しかし、その影響力は時代とともに変動していきました。

付属機関

安東都護府には多くの付属機関が存在しました。これには新城州や遼城州、さらには居素州や積利州などが含まれており、それぞれの地域での管理や統治が行われていました。これにより安東都護府は、ただ一つの統治機関ではなく、多様な地域を監督する広範な機関として機能していました。

結論

安東都護府は、唐の高句麗出兵の結果として生まれた重要な統治機関であり、朝鮮半島における政治の歴史に大きな影響を与えました。短期間ではありましたが、その存在は後の歴史的変遷にも影響を及ぼしました。

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