熊野川町九重

熊野川町九重について

熊野川町九重（くまのがわちょうくじゅう）は、和歌山県新宮市の一部で、近隣の自然環境や歴史的背景が豊かな地域です。2020年の国勢調査によると、九重の人口はわずか28人に過ぎず、面積は約7.2平方キロメートル。郵便番号は647-1233で、北山川を挟んで紀和町花井（三重県熊野市）と隣接し、歴史的にも深いつながりがあります。

地理的特徴

新宮市の北部に位置する九重は、車で約30分で市街地へアクセスできます。北側には奈良県十津川村、南東には三重県熊野市が接し、西側には標高500〜600メートルの山々が広がっています。この地域は主に山林で覆われており、集落は北山川沿いに沿った国道169号沿いに点在しています。集落内の家々は立派な石垣で囲まれ、文化的な雰囲気を醸し出しています。

九重には甲森（にしきがもり）と呼ばれる986.8メートルの山があり、周辺には多くの河川や谷も存在します。国勢調査によると、COVID-19の影響を受けた2020年には、15歳以上の就業者数は8人で、主要な産業は第一次産業と第三次産業です。在来の農家はわずかに残るものの、農林業経営体は存在しません。

教育・学校

九重地区の教育については、熊野川町の全域が熊野川小学校と熊野川中学校の学区に属しています。九重小学校と九重中学校はかつて存在しましたが、1972年と2005年にそれぞれ廃校となり、地域の教育の場が消えてしまった歴史があります。かつては、周辺からも生徒が通っていました。

歴史

九重には平家の落人伝説があり、地元の厳島神社では古代の物語が脈々と語り継がれています。江戸時代には紀伊国に属しており、茶の生産が行われていました。近代に入ると過疎化が進行し、人口が減少していきましたが、地域の活性化のため、カフェなど新しい取り組みも始まっています。特に、2011年の紀伊半島豪雨災害を経て、新たなコミュニティの場として旧九重小学校の校舎を利用した「Bookcafe kuju」が開店しました。

地域の特産

九重では伝統的な茶栽培が行われており、「九重茶」として知られています。その特異な栽培方法では、ススキを敷き詰めて生育環境を整える技術が使われています。明治・大正期に最盛期を迎え、その後は市場に出回ることが少なくなりましたが、地元のカフェや飲食店が独自のメニューで提供し続けています。特に「茶粥」は、歴史的な時代背景から生まれた郷土料理として、多くの人に親しまれています。

交通アクセス

九重へのアクセスは、国道169号を利用することが一般的です。また、2020年以降はデマンドタクシーも導入され、住民や観光客の移動手段が増えました。

まとめ

九重は過疎化が進む一方で、地域の特産品の生産や、新たな文化的な取り組みを通じて、住みやすさを追求しているコミュニティです。今後もこの地が持つ歴史や文化を大切にしながら、新たな展開を期待される地域です。

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