熱海モノレール

熱海モノレール計画の概要

熱海モノレールは、熱海駅からアタミロープウェイ乗り場、または熱海第一ビル地下から熱海港までを結ぶために設立された未成線の鉄道プロジェクトです。この計画は、東京モノレールや日立製作所による支援を受け、日立アルヴェーグ式のモノレールを導入することを想定していました。しかし、多くの理由からこの計画は実現せず、未成線として終わりました。

計画の背景

熱海市は、東海道本線の開通に伴い観光地としての地位を固め、特に昭和30年代には観光客数が年々増加しました。その中で、1958年には東海道新幹線の建設が承認され、1960年代に入るとさらなる観光客の流入が見込まれるようになりました。こうした状況を受けて、熱海モノレールの計画が持ち上がりました。

1962年4月17日、東邦観光開発株式会社が熱海駅とロープウェイ乗り場を結ぶ路線の鉄道敷設免許を申請しました。同年に新たに設立された熱海モノレール株式会社は、さらに別のルートでの申請も行い、運輸省からの許可を得ました。計画では、営業区間は約2.07kmを予定し、熱海駅前に地下駅を設置する方針でした。

運行計画の内容

熱海モノレールの運行計画では、所要時間は約5分、最高速度は55km/hで設定され、午前9時から午後10時までの運行を予定していました。車両は3両固定編成からなり、収容人数は約195名を見込んでいました。計画段階では、運賃は100円の均一料金が設定される見込みでした。しかし、1965年には計画の一部修正が行われ、営業距離が1.84kmに短縮されるなどの変更がありました。

特に、会長であった犬丸徹三氏は将来的に東京モノレールとの接続を希望していたことが特徴的です。

計画中止の背景

一方で、計画が進展する中で、熱海駅付近での2度の大火や復興事業に伴う交通整備が行われ、渋滞が深刻化しました。これにより熱海市は、モノレールの地下駅の位置を変更する必要に迫られました。1967年には、熱海第一ビルが完成しましたが、モノレール駅がこれを含む形で建設されたものの、その後の進展はありませんでした。

また、トンネル工事に伴う地質上の問題や、海上での建設予定地の環境問題等が重なり、工事は進まないまま、資金面でも東京モノレールの経営悪化が影響を及ぼしました。1965年には、工事の施行認可申請の期限延長が出されましたが、結局は計画の消滅に至りました。

計画中止後の遺構

熱海モノレール計画に関連する現存の建築物は、熱海第一ビル内にあるモノレール駅のみです。この跡地は現在も封鎖され、一般にはアクセスできない状態が続いています。かつてのバブル期には、owned by他の関係者による新たな計画もあったもののバブル崩壊に伴い、それも頓挫されています。そのため、現在もその詳細は不明のままです。

路線データ

• - 旧ルート: 2.07km / 新ルート: 1.84km
• - 方式: 跨座式（日立アルヴェーグ式）
• - 駅数: 4駅
• - 最高速度: 55km/h

駅一覧

• - 変更前の旧ルート: 熱海駅前 - 海上ホテル前 - 糸川 - ロープウェイ前
• - 変更後の新ルート: モノレール熱海 - 銀座 - 公園前 - 熱海港

以上が熱海モノレールの計画の概要とその背景、そして未成線としての経緯です。計画は多くの困難に直面しながらも、地域の発展を支える重要なインフラと位置づけられていました。

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