熱海海上花火大会

熱海海上花火大会

熱海海上花火大会は、静岡県熱海市の熱海湾を舞台に、年間を通して複数回（概ね15回程度）開催される人気の花火大会です。三方を山に囲まれた独特な地形が天然のスタジアムを形成し、花火の光と音響効果が一体となって観客を魅了します。

始まりと歴史

この花火大会の起源は1952年（昭和27年）に遡ります。1949年のキティ台風による高波被害や、1950年の熱海大火といった立て続けの災害からの復興を願い、市民に希望を与えるために始められました。以来、熱海のシンボルとして、多くの人々に親しまれています。

年間の開催スケジュール

熱海海上花火大会は、特定の時期だけでなく、ほぼ年間を通じて開催されるのが大きな特徴です。伝統的な8月5日をはじめ、春（4月〜6月）、夏（7月〜8月）を中心としつつ、秋（9月〜10月）、冬（12月）、そして追加の時期（2月〜3月）にも数回実施されます。これにより、四季折々の熱海で花火を楽しむことができます。

打ち上げの詳細

通常の開催時間は20:20から20:40までの20分間です。この短い時間内に約3000発の花火が次々と打ち上げられます。使用される花火の最大号数は通常10号玉（1尺玉）ですが、8月の最終回のみ、年に一度の特別な20号玉（2尺玉）が登場し、夜空を大きく彩ります。

打ち上げ場所は、熱海港の埋め立て地北部にある「七半岸壁」から「海釣り施設（堤防）」にかけての海上一帯です。ここでは、コンピュータ制御による創造的な花火演出「デジタルスターマイン」や、フィナーレを飾る「大空中ナイアガラ」が展開され、観客を大いに沸かせます。

かつて（コロナ禍前）は20:20から20:50までの30分間に約5000発が打ち上げられていましたが、近年の状況を経て、現在は20分間に約3000発という形式が定着しています。

観賞の楽しみ方

熱海湾がすり鉢状の地形であるため、熱海の市街地であれば、多くの場所から花火とその迫力ある音響を体験できます。特に、熱海サンビーチや親水公園、渚小公園、そして渚町一帯は、花火を間近で楽しむことができるメインの観賞エリアとして推奨されています。花火大会当日は、親水公園のデッキ上に数十軒の屋台が出店され、賑わいを添えます。また、有料観覧席（約1600席）や、熱海温泉ホテル旅館協同組合加盟宿泊者向けの無料観覧席も設置されます。

交通規制と中継

花火大会開催時間中には、熱海サンビーチと東駐車場・ジャカランダ遊歩道を結ぶバイパス道路や、渚町一帯の道路（国道135号を除く）が通行止めとなり、歩行者天国となることがあります（近年は規制を行わない場合も増加）。また、地元のコミュニティFM「FM熱海湯河原（Ciao!）」では、花火大会の様子が生中継されます。

近年の特別な開催

2020年から2022年にかけてのコロナ禍では、例年とは異なる開催形式が取られました。中止や時間短縮、小規模な花火大会の実施、音楽との連動、例年は開催されない時期の追加開催など、様々な試行錯誤が行われました。特に2021年には、伊豆山土砂災害やコロナの感染拡大の影響で夏季の大会が中止されたものの、秋以降には文化庁の支援を受けた大規模な音楽連動花火イベントや、毎週末の連続開催といった異例の試みもありました。しかし、2023年からは感染状況の落ち着きに伴い、ほぼ通常の開催形式に戻されています。

周辺の花火大会

夏季（7月〜8月）には、熱海市内の他の地区（初島、伊豆湯河原、伊豆山、伊豆多賀、網代）や、近隣の湯河原町、伊東市などでも様々な花火大会が開催されます。熱海海上花火大会と混同しないよう、それぞれの開催日時や場所をご確認ください。

初島花火大会（7月初頭日曜日、初島第2漁港）
伊豆湯河原温泉納涼花火大会（7月第4土曜日、泉公園）
伊豆山温泉納涼海上花火大会（8月3日、伊豆山港）
伊豆多賀温泉海上花火大会（8月12日、長浜海水浴場）
網代温泉海上花火大会（8月16日、網代温泉海水浴場）
湯河原温泉花火大会（8月3日、湯河原海浜公園）
* 按針祭海の花火大会（8月10日、伊東オレンジビーチ）

熱海海上花火大会は、その歴史、年間開催、そして天然の地形が生み出す唯一無二の演出により、多くの人々を惹きつけ続けています。

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