片岡曻

片岡曻（かたおか のぼる）

プロフィール

片岡曻は、1925年10月31日に生まれ、2020年4月1日に94歳で亡くなった日本の法学者です。京都大学名誉[[教授]]であり、労働法を専門としていました。特に、労働組合法、労働団体法、労働協約論を深く研究し、この分野の第一人者として知られています。学位は、京都大学から1962年に授与された法学博士です。

学歴・職歴

京都府出身の片岡曻は、1943年に京都府立福知山中学校を卒業後、第三高等学校を経て、1948年に京都帝国大学法学部を卒業しました。その後、京都大学大学院で研究を続け、1950年に特別研究生を修了、同大学法学部の助手となりました。1952年には専任講師、1953年には助[[教授]]に昇進し、1962年には「英国労働法理論」に関する研究で法学博士の学位を取得し、教授に就任しました。

1978年には京都大学法学部長および大学院法学研究科長を兼任し、1979年には日本労働法学会の代表理事を務めました。1989年に京都大学を定年退官し、名誉[[教授]]となるとともに、龍谷大学法学部教授に就任、1996年に退職しました。その他、東京大学社会科学研究所兼任教授、京都大学評議員、京都府労働基準審議会公益代表委員、日本学術会議第一部長などの要職を歴任しました。

研究内容

片岡曻の研究領域は、労働法全般にわたり、特にイギリス労働法、労働組合法、労働団体法、労働協約論に深い造詣がありました。労働法の理論的基礎を築き、その発展に大きく貢献したと評価されています。

著書

片岡曻は、多くの著書を執筆し、その研究成果を広く社会に共有しました。

代表的な著書には、以下のようなものがあります。

『英国労働法理論史』（1956年）
『労働法講義』（1957年）
『団結と労働契約の研究』（1959年）
『職場の法律と労働問題』（1960年）
『法からみた労使関係のルール』（1962年）
『ストライキの権利』（1963年）
『労働者権と経営権』（1963年）
『労働争議』（1964年）
『ILO問題の焦点と労働基本権の課題』（1966年）
『現代労働法の理論』（1967年）
『労働協約入門』（1967年）
『ストライキの法律問題』（1968年）
『地方公務員の権利と労働条件』（1968年）
『労働組合法の争点 法からみた労使関係のルール』（1971年）
『労働者の権利』（1971年）
『労働法』（1974-75年）
『労働法の基礎理論』（1974年）
『現代資本主義と労働法の動態』（1977年）
『労働法 その基礎理論と展開』（1978年）
『現代労働法の展開』（1983年）
『岐路にたつ労働者の人権』（1984年）
『労働協約論』（1984年）
『労働法の変革と課題』（1987年）
『自立と連帯の労働法入門 働く人びとの権利読本』（1997年）
『労働法理論の継承と発展』（2001年）
『団結権の課題と展望』（2003年）
『総論・労働団体法（第4版）』（2007年）
『労働者保護法（第5版）』（2009年）

これらの著作は、労働法を学ぶ上で重要な文献となっており、多くの研究者や実務家に読まれています。

共編著・翻訳

片岡曻は、単著の他に、多数の共編著や翻訳も手がけています。特に、労働法の分野における重要な資料や判例研究、実務に関する書籍の編集にも携わり、学術的な貢献に加えて、実務家にも有益な情報を多く提供しました。

記念論集

片岡曻の業績を記念して、複数の記念論集が出版されています。
『権利闘争の発展のために 本多淳亮・片岡曻先生還暦記念』（1985年）
『労働法学の理論と課題 片岡曻先生還暦記念』（1988年）

これらの論集は、片岡曻の研究業績を振り返るとともに、労働法学の発展に貢献したことを示すものです。

師事

片岡曻は、法学の分野では加藤新平、社会政策の分野では岸本英太郎に師事し、深い薫陶を受けました。

門下生

片岡曻の門下からは、多くの著名な法学者や研究者が輩出しました。

主な門下生としては、以下の人物が挙げられます。

大沼邦博（関西大学教授）
村中孝史（京都大学教授）
西谷敏（大阪市立大学名誉[[教授]]）
木下秀雄（大阪市立大学教授）
西村健一郎（同志社大学元教授）
萬井隆令（龍谷大学名誉[[教授]]）
脇田滋（龍谷大学名誉[[教授]]）
見澤俊明（元札幌学院大学学長）

これらの門下生は、片岡曻の遺志を継ぎ、労働法研究の発展に貢献しています。

まとめ

片岡曻は、日本の労働法学の発展に大きく貢献した偉大な法学者でした。その研究は、学界だけでなく、社会全体にも大きな影響を与え、労働者の権利保護に大きく貢献しました。片岡曻の業績は、今後も長く語り継がれるでしょう。

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