片野藩

片野藩の概要

片野藩（かたのはん）は、江戸時代の初期に茨城県石岡市片野に存在した藩で、わずか23年間だけ存続しました。この藩の中心地は片野陣屋（片野城）であり、藩主は滝川家が務めました。片野藩の歴史は戦国時代にさかのぼることができます。

前史

片野の地域は常陸国新治郡の北部に位置しており、戦国時代には筑波郡の小田城を本拠としていた小田氏によって支配されていました。しかし、1570年代に佐竹氏が片野城を攻略し、その後佐竹氏は自らの客将である太田資正を片野城に配置しました。これによって小田氏との対峙が続きます。

文禄4年（1595年）には、佐竹氏の一門である石塚氏が片野に移されましたが、慶長7年（1602年）には佐竹氏が出羽国秋田に転封されたため、石塚氏も片野を去ることになりました。一方、徳川家康の命により、滝川雄利がこの地に入封し、片野藩が成立することとなります。

滝川氏時代

滝川雄利は伊勢国司北畠家の庶流であり、かつて織田信長の次男である信雄の家臣として仕えていました。天正18年（1590年）、信雄が改易された際、彼は豊臣秀吉の直臣として2万石を賜りましたが、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いで西軍に与したため、一度改易されました。しかし、その後、徳川秀忠の側近として再び仕官し、常陸国新治郡に2万石を与えられ、片野に居を定めました。

雄利の死後は、嫡男の滝川正利が家督を継ぎましたが、寛永2年（1625年）には政務を続けることが難しいと判断され、所領の返上を願い出ました。その結果、所領は2万石から1万8000石を幕府に収公された上、残りの2000石が安堵されて旗本となりましたが、同年中に正利は没し、これにより片野藩は消滅しました。

なお、滝川家の片野領は滝川正利の娘婿である滝川利貞に引き継がれたものの、1697年には元禄の地方直しにより、利貞の子が近江国に移封され、滝川家は片野を去ることとなりました。これにより、滝川家はわずか4代、95年の歴史でこの地を後にしました。

菩提寺

滝川氏は、前城主の石塚氏が片野城下の根小屋村に移転させた菩提寺、泰寧寺を受け継ぎました。この寺には初代藩主滝川雄利から第3代藩主滝川利貞までの墳墓が存在しています。また、江戸にある菩提寺は、滝川正利が父雄利のために建立した下谷広徳寺の塔頭桂徳院であり、現在は東京都練馬区桜台に位置しています。

歴代藩主

• - 滝川家（外様、2万石）

- 滝川雄利
- 滝川正利

片野藩は、短い歴史の中で江戸時代の変遷に大きく影響を受け続けた地域の一つであり、その伝統や文化は今もなお地域の歴史として語り継がれています。

もう一度検索