滝川正利

滝川 正利の生涯

滝川正利（たきがわ まさとし）は、江戸時代前期の大名で、常陸国片野藩の第2代藩主としてその名を知られています。彼は天正18年（1590年）に、後に初代片野藩主となる父・滝川雄利の長男として、伊勢国神戸城にて誕生しました。正利の人生は、戦国時代の激動と、江戸時代の安定の中で形作られました。

彼の父、滝川雄利は関ヶ原の戦いで西軍に属し、一度は失領しましたが、徳川家康に召し出され、片野に2万石を与えられました。これにより、家族は徳川家に仕官する道を選びました。慶長10年（1605年）、16歳の正利は2代将軍・徳川秀忠の上洛に供奉し、従五位下・壱岐守に叙任されました。この時、彼は父の影響を受け、羽柴という苗字を用いることを決め、羽柴壱岐守と称しました。

慶長15年（1610年）に父が亡くなると、正利は21歳で家督を相続しました。父の記憶を尊重しつつ、彼は慶長20年（1615年）に大坂夏の陣に参加し、首3級を獲得するなどの武功を挙げ、名声を高めました。その後、将軍の命令に従い、自らの苗字を羽柴から滝川に改めることになりました。この時期の彼は、藩主としての役割を果たす一方で、家の歴史を刻んでいきました。

しかし、正利は生来的に病弱で、次第に公務への出仕が困難になることが増えていきました。寛永2年（1625年）には嗣子がいないこともあり、幕府への所領の返上を申し出ることになりました。彼の所領2万石のうち1万8000石は幕府に収公され、残りの2000石が常陸新治郡にて安堵され、これにより正利は旗本となりました。これが彼の政治的なキャリアの終焉を迎える形となりました。

その年の11月7日、正利は36歳の若さで亡くなります。彼の家督は、摂津国高槻藩初代藩主・土岐定義の次男である利貞に引き継がれました。利貞は正利の娘を娶り、婿として家を継いでいきました。

正利の家系は、その後も続いていきます。利貞と正利の娘との間の子である利錦は御側衆に昇進し、さらに名跡を受け継いだ子孫は4000石の旗本として生き続けました。また、幕末には大目付の滝川具挙が登場し、彼は鳥羽・伏見の戦いの契機を開く重要な役割を果たしました。具挙は正利の子孫でもあり、彼の家系の別家にあたるのです。

以上のように、滝川正利の生涯は、江戸時代の激しい転換期における武士の在り方や、家族の運命を物語っています。彼の名は、片野藩の歴史の中で色濃く記憶され続けることでしょう。

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