牌譜

麻雀の牌譜とは

麻雀における牌譜とは、一局の麻雀の進行を記録したものです。具体的には、各プレイヤーのツモ（牌を引くこと）、打牌（牌を捨てること）、ポン、チー、カンなどの動作、そして得点の変動などが記録されます。これは、野球のスコア、囲碁や将棋の棋譜に相当するもので、麻雀の戦術分析や自身の対局の振り返りを行う上で重要な役割を果たします。

麻雀は中国で誕生しましたが、当初は偶然性に左右される賭け事として認識されており、戦術の研究はあまり行われていませんでした。そのため、各局の動作を記録する習慣もありませんでした。しかし、日本で麻雀が普及するにつれて戦術研究が盛んになり、その過程で牌譜の記録が重要視されるようになりました。かつては「雀譜」とも呼ばれていましたが、現在では「牌譜」という表記が一般的です。

牌譜の記録方法

競技麻雀などでは、各プレイヤーに記録者が付き、牌譜を記録します。記録者は、ツモられた牌がはっきりと見えるように、手牌の上に横向きに置くように促します。これは、牌が倒れるのを防ぐためです。記録者が記録する時間を考慮し、一呼吸の間を置いてから次の動作に移るのがマナーとされています。

牌譜の例

以下に牌譜の一例を示します。


東1局　東家：A 25000 南家：B 25000 西家：C 25000 北家：D 25000 ドラ：🀙

A: 🀎🀐🀙🀓🀅🀉🀄🀃🀏🀛🀘🀄🀡🀀
🀉↓🀆 🀋 カン 🀚 🀟
🀋 🀙 🀐 🀎 🀄 🀅 🀓 カン 🀘 リーチ ツモ ウチ
🀙 🀄 🀟 🀡 🀚 🀀 🀋


1行目には、局名、席順、プレイヤー名、点数、ドラ表示牌が記載されます。ドラ表示牌は、次の牌ではなく同一牌（現物牌）で示します。
2行目には、配牌が記載されます。親は14枚、子は13枚です。
3行目には、ツモ牌が記載されます。ただし、ポン、チー、大明カンの場合は他家の打牌、前の巡にカンをした場合は嶺上牌が記載されます。また、親の1巡目は空白となります。ポン、チー、カン、アガリがあった場合は、その旨を牌の上か下にカタカナで表記します（ツモアガリは「ツモ」、ロンアガリは「ロン」）。ツモ切りの場合は、下向きの矢印のみを記載します。これは、ツモ切りかどうかが戦術に大きな影響を与えるためです。
4行目には、打牌が記載されます。カンまたはツモアガリがあった場合は空白となります。ただし、ツモ牌でない牌を暗カンまたは加カンした場合は、カンした牌を打牌欄に記載し、その下に「カン」と表記します。ポンや大明カンによってツモ順が飛ばされた場合は、その巡目のツモと打牌を空白にします。リーチをかけた場合は、牌の下に「リーチ」と表記します。放銃した場合は、牌の下に「ウチ」と表記します。
5行目には、最終形が記載されます。ポン、チー、カン、アガリがあった場合は、その旨を牌の上か下に表記します。ポン、チー、カンした面子は、一番右側に寄せて書きます。

プロの公式戦では、上記のようなフォーマットの用紙に、係の者が記録します。速記が必要となるため、より簡略化された記号が用いられます。詳細については採譜記号を参照してください。

牌譜のバリエーション

上記の例は1人分の牌譜ですが、4人全員の牌譜を東家→南家→西家→北家の順に並べ、1局の全体の動きを把握できるようにしたものもあります。また、上下に並べるだけでなく、4人が実際に卓を囲んでいるように正方形に配置することもあります。この場合は、配牌とツモ牌を省略し、打牌と最終形のみを記載することが多いです。さらに、打牌も横一列ではなく、実際の河のように6枚から9枚で段を移すこともあります。

インターネット麻雀と牌譜

東風荘やハンゲームなどのインターネット麻雀ソフトウェアでは、牌譜が自動的に記録されます。専用の牌譜再現ソフトを使用することで、実際にプレイしているかのように自動的に摸打が進行します。『科学する麻雀』の著者であるとつげき東北氏は、摸打のデータを戦術研究に活用するため、ウェブサイト上で上級者の牌譜を募集・公開しています。

まとめ

牌譜は麻雀の戦術研究や振り返りにおいて重要なツールです。牌譜を読むことで、自身の打ち筋を客観的に分析し、改善点を見つけることができます。また、他人の牌譜を研究することで、新たな戦術や考え方を学ぶこともできます。牌譜を有効活用することで、麻雀の腕前をさらに向上させることができるでしょう。

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