牧野信成 (今橋城主)

牧野信成（まきの のぶしげ）

牧野信成は戦国時代に活躍した武将であり、現在の愛知県にあたる三河国の国人領主です。彼は通称として田蔵や田三、田三郎と呼ばれており、『三河物語』では伝蔵と名付けられています。信成は吉田城（今橋城）の初代城主で、その一族は今橋地域の重要な勢力として知られていました。

略歴

信成は三河東部、現在の豊川市と豊橋市にある有力な国人として知られています。彼は初代今橋城主である父、牧野成時（古白）の子として生まれました。永正3年（1506年）に父が討死した後、信成は今橋を奪還し、大永年間の初めに城主としての地位を得ました。一説によると、兄の牧野三成が無嗣で戦死したため、信成がその跡を継いだとも言われています。

大永2年（1522年）、彼は今橋城の名称を吉田城に改めました。この名称変更の理由には、「いまはし」という名が「忌まわし」と聞こえることから改めたという説もありますが、信成の記録では城としての明確な言及がありません。また、享禄2年（1529年）には信成の一族に牛久保城を築かせる命令を出しました。

しかし同年、松平清康が岡崎城から侵攻してきた際の下地合戦で信成は敗北し、今橋城も陥落しました。信成は戦死し、その際に70名以上の一族が共に命を落としました。大名家の牧野家は清和源氏に姓を改めたのに対し、信成の子孫は牧野氏をそのまま名乗っています。信成の死の年は異説があり、天文元年（1532年）とする意見も存在します。

彼の墓は豊橋市の吉田山竜拈寺にあり、これは信成自身が父の成時の菩提を弔うために建立した寺です。信成はここに埋葬されており、法名は以天清公です。

系譜

信成の家族構成は以下の通りです：

• - 父: 牧野成時（? - 1506年）
• - 母: 不詳
• - 兄: 三成（異名：成三）
• - 弟: 信高（戦死）
• - 室: 神谷氏
• - 嫡男: 田蔵某（実名は成継とされる）

成時は多くの子供を持っていたとされ、信成以外にも兄弟がいましたが、彼らの多くも下地合戦で戦死しています。信成の系譜は代々「田蔵」を通称として名乗る伝統があります。

末裔

今橋牧野家は城の落城により滅亡しましたが、信成の妻は尾張国知多郡の大野に逃れ、そこで嫡男を出産しました。この子孫は後に徳川家康に仕官し、幕末まで生存し続けました。また、信成の孫を称する牧野宇右衛門もおり、彼は池田氏に仕えました。宇右衛門が提出した文書には、彼の祖先が三州出身であり、岡山藩の家臣団に属していたことを示す記録も残されています。宇右衛門はその後に山の大組に所属し、明治期まで家系は存続しました。

このように、牧野信成は戦国時代の武将としての重要な役割を果たし、彼の家系は歴史を通じて連綿と続いていきました。彼の生き様は、当時の武士たちの運命を映し出す一端を担っていると言えるでしょう。

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