牧野草子

牧野 草子



牧野 草子（まきの そうし）氏は、1999年3月22日に埼玉県朝霞市で誕生した、日本の男子アマチュアボクシング選手です。中央大学を卒業後、自衛隊に入隊し、現在は幹部自衛官として自衛隊体育学校ボクシング班に所属（2024年12月時点で3等陸尉）。国内軽量級の第一人者として、全日本選手権フライ級での2連覇をはじめ、数々の栄冠を手にしています。

異色のキャリアパス



幼少期から格闘技に触れ、小学4年生から中学3年生までの間はキックボクシングに打ち込みました。この時期、後にプロ格闘家として名声を確立する那須川天心氏と共に練習に励み、藤原敏男杯全国大会での2連覇など、アマチュアキックボクシングの舞台で傑出した成果を上げています。那須川氏とは、タイでのムエタイ修行や富士登山を共にするなど、競技の内外で深い絆を結んでいました。

ボクシングへの転向は、2014年4月に朝霞西高校に入学した後のことでした。高校1年生の夏、偶然インターハイのボクシング競技を観戦した際に、選手たちの高度な技術と真剣勝負に感銘を受け、自らもこの競技に挑戦したいという強い思いを抱きます。当時、高校にボクシング部がなかったため、顧問となる教員を探し、校長の承諾を得るなど、環境整備に奔走。埼玉県ボクシング連盟への学校としての団体加盟と自身の選手登録を実現させ、独自の道を切り開きました。

高校・大学での成長



2015年、高校2年生から本格的に高校ボクシングの公式戦に出場を開始。ライトフライ級でインターハイへの出場を果たし、全国高校選抜大会では3位入賞を果たすなど、短期間で才能を開花させました。この高校時代までは、特定のジムに所属せず、父親と二人三脚で練習を続けていたといいます。

2017年4月には、ボクシングでの実績が評価され、中央大学へボクシング推薦で進学。大学ボクシング部の1部リーグ戦で主力選手として活躍し、個人でも国民体育大会の成年フライ級で3位入賞するなど、大学でも着実に競技者としてのレベルを高めました。

自衛隊体育学校での飛躍と全日本選手権制覇



2021年4月、体育特殊技能者として自衛官となり、自衛隊体育学校ボクシング班の一員となりました。この時期、ロンドンオリンピックフライ級日本代表の須佐勝明コーチ（井上尚弥氏が「第二の師匠」と称する人物）の指導を最初の1年間受けたことは、その後の技術向上に大きな影響を与えたとされます。

同年11月、自衛隊体育学校所属として臨んだ初の全日本ボクシング選手権大会フライ級で、並み居る強敵を破り優勝。自身にとって初めてのアマチュアボクシング日本一の栄冠を掴みました。

国際舞台と国内での連覇



2022年は、牧野選手にとって国際経験を積んだ年となりました。1月にはウズベキスタンで開催されたU22アジア選手権にバンタム級の日本代表として出場。トーナメントを順調に勝ち進み決勝に進出しましたが、地元ウズベキスタンの若手強豪選手に判定で惜敗し、銀メダルを獲得しました。同年9月には全日本社会人ボクシング選手権大会フライ級で優勝。そして11月の全日本選手権では、前年に続き再び決勝に進出し、吉良大弥氏を破ってフライ級での全日本2連覇を達成しました。

オリンピックへの挑戦と国内ライバル



2023年11月、パリオリンピックの代表選考を兼ねた全日本選手権に挑みました。フライ級決勝で対戦したのは、日本ボクシング史上初の世界選手権王者である坪井智也氏。激しい攻防の末、判定で敗れ、全日本3連覇およびパリオリンピック出場権獲得はなりませんでした。国内トップレベルのライバルとのハイレベルな対戦は、牧野選手のキャリアにおける重要な経験となりました。

近年の活動と主な戦績



2024年も国内外の大会に出場し、経験を積んでいます。5月にはカザフスタンで開催されたエロルダカップ（旧カザフスタン大統領杯の後継大会）にフライ級日本代表として出場し、準決勝で2021年世界王者に敗れたものの銅メダルを獲得。11月にはイギリスでのワールドボクシングカップ2024ファイナル（51kg級）に出場し、地元イギリスの強豪選手にスプリット判定で惜しくも敗れましたが、再び銅メダルを獲得しました。

牧野選手はこれまでに80試合以上の公式戦に出場しており、BoxRecなどのデータベースに未記載の試合記録も多数存在するといわれています。

主な戦績および受賞歴は以下の通りです。

主な国内戦績



主な海外戦績



主な受賞歴


もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。