須佐勝明

須佐勝明：アマチュアボクシングの星、指導者として新たな道を拓く

須佐勝明（すさ かつあき、1984年9月13日 - ）は、日本のアマチュアボクシング界を牽引した元選手であり、現在は指導者としてその手腕を発揮しています。2012年ロンドンオリンピックにフライ級日本代表として出場した経歴を持ち、日本ボクシング連盟の理事兼ハイパフォーマンスディレクター（強化統括責任者）としても活躍しています。福島県会津若松市出身で、東洋大学を卒業。株式会社AYUAの代表取締役を務める傍ら、かつては自衛隊体育学校に所属する幹部自衛官（1等陸尉）でもありました。

アマチュアボクシング選手としての輝かしいキャリア

福島県立会津工業高等学校から東洋大学に進学した須佐は、早くからその才能を開花させます。2005年には全日本選手権バンタム級で初優勝を飾り、その実力を証明しました。2006年のアジア競技大会では、階級を下げてフライ級に出場し、銅メダルを獲得。大学卒業後にはプロからの誘いもありましたが、オリンピック出場を目標にアマチュア選手として競技を続ける道を選びました。

2007年4月には陸上自衛隊に入隊し、自衛隊体育学校に進みました。同年の世界選手権に出場するも16位に終わり、翌年の北京オリンピック出場も逃しましたが、2009年に現役復帰。全日本選手権で復活優勝を果たし、再び注目を集めました。2010年にはカザフスタンプレジデント杯で優勝、アジア競技大会で2大会連続の銅メダルを獲得。2011年にもインドネシア大統領杯で優勝するなど、国内外で数々の実績を残しました。

そして2012年、須佐はロンドンオリンピックの出場権を手にします。しかし、本番では1回戦でキューバのロベイシー・ラミレスに判定負け。ラミレスが金メダルを獲得する一方で、須佐は現役引退を決意しました。ロンドンオリンピックでは、大学の後輩である村田諒太がミドル級で金メダル、自衛隊体育学校の後輩である清水聡がバンタム級で銅メダルを獲得しています。

指導者としての新たな挑戦

引退後、須佐は自衛隊体育学校でコーチとして後進の指導に当たりました。教え子の中には、2021年開催の東京オリンピックで銅メダルを獲得した並木月海、2021年世界選手権で金メダルを獲得した坪井智也、後のWBO女子世界スーパーフライ級王者となる晝田瑞希らがいます。また、プロアマ交流が事実上自由化されてからは、プロ選手への指導も積極的に行い、WBO女子世界スーパーフライ級王者だった吉田実代らの指導も担当しました。

2019年には日本ボクシング連盟男子強化委員に就任。2023年にはアジアボクシング連合（ASBC）コーチ委員長を務めるなど、指導者としての才能を発揮しています。自衛隊を退職後は、井上拓真の特別コーチに就任し、世界王座獲得に貢献。さらに、ロンドン五輪後にプロへ転向した清水聡の特別コーチにも鈴木康弘と共に就任しました。

2023年5月にはプロボクシングの解説に初挑戦し、同年6月には埼玉県朝霞市に自身のボクシングジム「SUSA GYM」を開設。2024年7月には、元K-1世界王者の格闘家である武尊のボクシング指導を開始。同年、日本ボクシング連盟の強化責任者である「ハイパフォーマンスディレクター」に就任しました。

プロからも認められる実力と人柄

須佐は、アマチュア選手でありながらプロからも一目置かれる存在でした。亀田興毅は「海外でもいろんな選手とスパーリングをしたけど、あんなに強いのはおらんかったな」「3ラウンドまでやったら（プロの）世界チャンピオンより強いと思う」と評しています。また、井上尚弥からは「第二の師匠」として慕われるなど、その人柄も高く評価されています。

高校時代まではボクシングと並行して将棋のプロ棋士を目指していたという意外な一面も持ち合わせています。第25代会津若松市観光大使や東洋大学体育会ボクシング部OB会長も務めています。

受賞歴

2005年 プロ・アマチュア年間表彰 アマチュアボクシング部門 敢闘賞
2006年 プロ・アマチュア年間表彰 アマチュアボクシング部門 最優秀選手賞
2007年 プロ・アマチュア年間表彰 アマチュアボクシング部門 優秀選手賞
2010年 プロ・アマチュア年間表彰 アマチュアボクシング部門 最優秀選手賞
2011年 プロ・アマチュア年間表彰 アマチュアボクシング部門 技能賞
2012年 プロ・アマチュア年間表彰 アマチュアボクシング部門 技能賞

須佐勝明は、選手として、指導者として、そして人間として、多くの人々に影響を与え続けています。その情熱と才能は、これからもボクシング界の発展に貢献していくことでしょう。

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