物部神社 (名古屋市)

物部神社（もののべじんじゃ）

物部神社は愛知県名古屋市東区筒井に所在する、歴史深い神社です。この神社は『延喜式神名帳』に記載されている尾張国愛智郡にあるとされ、その位置が物部神社に特定されていますが、他の説も存在しています。

歴史的背景

物部神社は、垂仁天皇の時代に創建されたと伝えられています。当初は広大な境内を有していました。神体は大石である「要石」とされ、その大石は神武天皇がこの地を平定した際の国の鎮め役としての役割を果たしていたといわれています。この信仰は江戸時代にまで続き、当時は石神堂または山之神と呼ばれていました。

歴史書『寛文村々覚書』には、17世紀中頃に「古井村...山之神」と記されており、当時は山神として厚く崇められていたことがうかがえます。元禄年間に入ると、徳川綱誠が荒れ果てた社殿を修復したという伝説も残されています。

江戸時代には、当社を『延喜式神名帳』に記載のある物部神社として認識した天野信景が登場しますが、彼の持つ根拠は宇麻志麻遲命が祭神である点のみであり、物部神社という名称を直ちに当てはめることには疑問の声も上がりました。江戸後期には、郷土史家の津田正生がその見解を否定し、実際の物部神社は御器所八幡宮であるとの主張を展開しています。考古学的な観点からみても、物部神社の周辺に古代の遺跡は見当たらず、御器所周辺には古墳や廃寺が点在しているため、愛知郡物部郷は御器所周辺に比定される可能性が高いとされました。

1868年（明治元年）には、物部神社は正式に式内社として認定され、その後村社に列せられましたが、現在では無格社となっています。1953年（昭和28年）には本殿と拝殿が新たに建築され、現在の姿を持っています。

祭神

物部神社の祭神は宇麻志麻遲命（うましまじのみこと）です。古くからこの神社で大切にされてきた神々の一柱で、地域に深い信仰の対象となっています。

アクセス

物部神社は愛知県名古屋市東区筒井三丁目31番21号に位置しています。アクセスは非常に良好で、JR中央本線の千種駅から北へ約300メートル、名古屋市営地下鉄東山線の千種駅からも同じく北に300メートル、さらに名古屋市営地下鉄桜通線の車道駅からも至近距離にあります。観光や参拝のついでにぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

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