物集女車塚古墳

物集女車塚古墳について

物集女車塚古墳（もずめくるまづかこふん）は、京都府向日市物集女町に位置する古墳であり、特徴的な前方後円墳の形状を持っています。この墳墓は乙訓古墳群の一部を成しており、日本の歴史的遺物として国の史跡に指定されています。また、出土した遺物も京都府指定の有形文化財に認定されております。

概要

この古墳は京都盆地の南西端、向日丘陵の北東部に築かれ、高さ約21メートルの緩やかな傾斜面に位置しています。古墳の名前にある「車塚」は、ここに淳和天皇の霊柩車が埋葬されたとの伝説に由来しています。近年では、府道67号西京高槻線が古墳の東側を通り、道路の整備に伴って一部が削平されてしまいました。また1983年以降、向日市教育委員会の主導により発掘調査が行われています。

墳形は前方後円形で、前方部は北東を向いています。墳丘は2段に築かれ、円筒埴輪や葺石の存在が確認されています。また、墳丘の南側にはくびれ部に造出が施され、周囲には周溝が巡っています。埋葬施設は後円部に位置する片袖式横穴式石室で、内部は多くの副葬品で埋め尽くされています。

古墳の構造

物集女車塚古墳は、前方後円墳として規格化された畿内型石室を採用しており、大型の石室は約11メートルの長さを誇ります。この石室は南南東方向に向けて開口しており、内部には組合式家形石棺が設置されていました。石棺内及び外からは豪華な装身具や武器類が多数発掘され、特に京都府内で唯一の金銅製の広帯式冠が際立っています。

副葬品には鈴や耳環、槍、鉄の刀などが含まれ、これらは当時の人々の生活や文化に関する貴重な手がかりとなります。また、この古墳は6世紀中頃に築造されたと考えられ、7世紀には他の人物も埋葬されている可能性があります。

歴史的背景

物集女車塚古墳は、淳和天皇の埋葬伝説や、当時のヤマト王権下で築かれたことから重要な政治的・文化的背景を持っています。継体大王の時代に築かれたこの古墳は、当時の社会構造や権力関係を理解するための重要な資料となっています。時代背景を踏まえると、継体王権と深い関わりを持つ人物の墓であることが推測され、古墳自体が権力の象徴であるといえます。

出土品と文化財としての価値

この古墳から出土した遺物は現在、仏教や神道における文化財として認められ、国の史跡に指定されています。また、一部の出土品は京都府の有形文化財に指定されており、歴史的価値は非常に高いとされています。石室への立ち入りは制限されていますが、春季には一般公開されており、多くの人々がこの古墳の魅力に触れる機会を持っています。

物集女車塚古墳は、日本の古墳時代の文化遺産を代表する遺構として、今後も多くの研究対象となり続けるでしょう。

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