特定家庭用機器再商品化法

特定家庭用機器再商品化法（家電リサイクル法）とは

特定家庭用機器再商品化法、通称「家電リサイクル法」は、家庭から排出される特定家電製品のリサイクルを義務付ける法律です。この法律は、廃棄物の減量と資源の有効活用を目的とし、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。経済産業省と環境省が共同で所管しています。

目的

この法律の主な目的は、特定家庭用機器の小売業者や製造業者などが、廃棄された家電製品を適切に収集、運搬し、再資源化することです。これにより、廃棄物の量を減らし、資源を有効に利用することで、環境保全と国民経済の健全な発展に寄与することを目指しています。

対象となる家電製品

家電リサイクル法の対象となるのは、以下の4品目です。

エアコン
テレビ（ブラウン管式、液晶・プラズマ式、有機EL式）
電気冷蔵庫・電気冷凍庫（ワインセラーを含む）
電気洗濯機・衣類乾燥機（電気式、ガス式）

これらの家電製品は、一般的に「特定4品目」と呼ばれています。業務用の製品は対象外です。また、チューナーを内蔵していないモニターや電池式の液晶テレビ、パソコンのディスプレイは、この法律の対象外となります。

リサイクルの仕組み

家電リサイクル法では、製品の廃棄時にリサイクル料金を消費者が負担する仕組みになっています。

1. 排出者（消費者）は、対象製品を廃棄する際、購入した販売店、または買い替えの際の販売店に引き取りを依頼します。リサイクル料金と収集運搬費用を支払います。
2. 販売店は、引き取った製品を各都道府県に設置された指定引取場所へ運びます。
3. 指定引取場所から、各メーカーのリサイクル工場へ運搬されます。
4. リサイクル工場では、製品が細かく分解され、再利用可能な部品や材料が回収されます。回収された材料は、新たな製品の製造に使用されます。

郵便局でリサイクル券を購入し、直接指定引取場所に持ち込むことも可能です。製品を購入した販売店が閉店した場合や遠隔地に引っ越した場合など、販売店に依頼できない場合は、自治体や家電量販店、電器店が窓口となることもあります。

リサイクル料金

リサイクル料金は、製品の種類やメーカーによって異なります。大手メーカーの製品は比較的安く、中小メーカーの製品は高くなる傾向があります。また、製造メーカーが事業再編や社名変更により、現在リサイクルを行っているメーカーと異なる場合もあります。さらに、複数のメーカーが同じブランドを使用している製品もあり、料金体系は複雑です。

リサイクル率の目標

家電リサイクル法では、リサイクル率（再商品化率）の目標が設定されています。当初は50〜60%でしたが、現在では70〜80%に引き上げられています。ただし、ブラウン管式テレビは55%のままです。リサイクル率の目標は、再資源化されたものの中でも有償で引き取られるものに限って計上されます。

回収率の目標

2015年からは、使用済み家電4品目の回収率（収集率）の目標も設定されました。2018年には56%という目標が達成されましたが、エアコンの回収率が依然として低いことから、回収率向上が課題となっています。

家電リサイクル法の問題点

家電リサイクル法には、いくつかの問題点も指摘されています。

不法投棄の問題: 製品の廃棄時にリサイクル料金を支払う後払い方式のため、不法投棄を誘発しているという指摘があります。特に、小型テレビや冷蔵庫のリサイクル料金が高いのではないかという声もあり、業界団体が料金を引き下げた経緯があります。しかし、依然として不法投棄の問題は根強く残っています。
「見えないフロー」の問題: 無許可の業者による廃家電の無料回収が行われ、回収された製品が適切なリサイクルルートを通らずに輸出されたり、金属買取業者に販売されたりするケースがあります。これは廃棄物処理法に違反する行為です。また、悪質な業者はリサイクル料を徴収した上で不法投棄することもあります。

法律の見直しと今後の動向

家電リサイクル法は、施行後、何度か見直しが行われてきました。特に、液晶テレビのリサイクルにおいては、金属回収が見込める一方で、バックライトに使用されている水銀の処理が課題とされてきました。そのため、薄型テレビや衣類乾燥機が対象品目に追加されるなど、制度の改善が図られてきました。

近年では、回収率目標の設定や、不法投棄対策の強化などが進められています。今後も、家電リサイクル法は、時代の変化や技術の進歩に合わせて、見直しが続けられていくと考えられます。

沿革

2001年4月1日: 家電リサイクル法、本格施行
2004年4月1日: 対象品目に電気冷凍庫を追加
2009年4月1日: 対象品目に薄型テレビ（液晶テレビ・プラズマテレビ）と衣類乾燥機を追加
2024年4月1日: 対象品目に薄型テレビ（有機ELテレビ）を追加

構成

家電リサイクル法は、以下の7章と附則から構成されています。

第1章 総則
第2章 基本方針等
第3章 小売業者の収集及び運搬
第4章 製造業者等の再商品化等の実施
第5章 指定法人
第6章 雑則
第7章 罰則
附則

関連法規

循環型社会形成推進基本法
使用済[[自動車の再資源化等に関する法律]]（自動車リサイクル法）
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
使用済小型電子機器等の再[[資源化の促進に関する法律]]（小型家電リサイクル法）

外部リンク

家電リサイクル券センター
家電リサイクル関連 - 環境省
* 家電リサイクル法 - 経済産業省

もう一度検索