特急二十世紀

ハリウッド黄金時代の傑作コメディー『特急二十世紀』

1934年、アメリカ合衆国で製作・公開された映画『特急二十世紀』（原題: Twentieth Century）は、ハリウッド黄金時代を代表する作品の一つとして高い評価を受けています。名匠ハワード・ホークスが監督を務め、ジョン・バリモアとキャロル・ロンバードという当時を代表するスター俳優が主演を務めたことで話題を呼びました。

本作は、チャールズ・ブルース・ミルホランドによる舞台劇を映画化。ベン・ヘクトとチャールズ・マッカーサーというハリウッドを代表する脚本家によって練り上げられた脚本は、テンポの良い展開と機知に富んだセリフで観客を魅了します。

物語の中心は、かつて大スターだったオスカー・ジャフィと、彼の元恋人であり、今では人気女優となったリリー・ガーランドの複雑な関係です。かつてオスカーにスターダムへの道を導かれたリリーは、今では彼を軽蔑しているかのように振る舞いますが、二人の間には消えることのない強い引力が存在します。ニューヨークからハリウッドへ向かう豪華列車「20世紀号」を舞台に、二人の間に繰り広げられる、笑いとロマンス、そして時に激しい葛藤が描かれています。

ジョン・バリモアは、傲慢で自己中心的ながらもどこか憎めないオスカー・ジャフィを熱演。一方、キャロル・ロンバードは、美しく知的なリリー・ガーランドを演じ、ハリウッド女優としての魅力を存分に見せつけます。二人の絶妙な掛け合いは、本作の大きな見どころとなっています。

監督を務めたハワード・ホークスは、緻密な演出で物語に緊迫感とユーモアの両方を与えています。列車という限られた空間を舞台に、登場人物たちの感情や関係性が巧みに描かれており、飽きさせない構成になっています。

撮影はジョゼフ・H・オーガスト、編集はジーン・ハヴリックが担当。衣装デザインはロバート・カロックが手掛けています。これらのスタッフの技術と才能も、本作の高評価に繋がっていることは間違いありません。また、制作総指揮にはハリー・コーンが関わっています。

『特急二十世紀』は、その高い評価から、1978年にはベティ・コムデンとアドルフ・グリーンによる脚色、サイ・コールマンによる作曲でミュージカル化され（日本語題『20世紀号に乗って』）、舞台でもその魅力を放ちました。さらに、2011年にはアメリカ国立フィルム登録簿に登録され、その歴史的価値と芸術的価値が認められています。

豪華キャスト、巧みな脚本、そして名匠の演出が三位一体となった『特急二十世紀』は、ハリウッド黄金時代の輝きを今に伝える、まさに必見の映画と言えるでしょう。現在でも、多くの映画ファンを魅了し続けています。様々なサイトで視聴可能ですので、ぜひ一度ご覧になってみてください。 Allcinema、KINENOTE、Allmovie、IMDbなどで情報をチェックできます。

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